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 NECは2022年9月15日、オープン仕様に基づき、他社製品とも組み合わせられるようにした光伝送装置4製品を同年10月1日から出荷開始すると発表した。NTTの「IOWN構想」の通信基盤となる「APN(All Photonics Network)」にもいち早く対応。同社は今回の製品を皮切りに、世界で動き始めた光伝送装置のオープン化市場をリードし、「2027年度に同市場の25%のシェア獲得を目指す」(NECネットワークソリューション事業部門フォトニックシステム開発統括部長の佐藤壮氏)と意気込む。

「光伝送装置のオープン化市場で世界首位を目指す」と意気込む、NECネットワークソリューション事業部門フォトニックシステム開発統括部長の佐藤壮氏
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「光伝送装置のオープン化市場で世界首位を目指す」と意気込む、NECネットワークソリューション事業部門フォトニックシステム開発統括部長の佐藤壮氏
(出所:NEC)

 NECが新たに投入する光伝送装置の製品群「SpectralWave WXシリーズ」は、世界同時多発で進む光伝送装置のオープン化やディスアグリゲーション(機能分離)といった新たな潮流に準拠した。

 通信事業者のコアネットワークやメトロネットワーク、データセンター間ネットワーク(DCI)などの大容量通信に使われる光伝送装置は、これまで性能が重視されてきたために、シングルベンダーによる一気通貫のソリューションが一般的だった。結果として、異なるベンダーの機器による相互接続が難しかった。オープン化やディスアグリゲーションによって、ベンダーロックイン(ベンダーによる囲い込み)を脱却し、適材適所で柔軟に機器を組み合わせられるといった新たなメリットが生まれる。

 光伝送装置のオープン化やディスアグリゲーションの仕様化は、米AT&Tなどが中心となって設立された「Open ROADM MSA」、米Meta Platforms(Meta、旧Facebook)を中心とした「Telecom Infra Project(TIP)」、そしてNTTが推進する「IOWN構想」の仕様を策定する「IOWN Global Forum」といった団体において世界同時多発で進んでいる。

 NECが新たに発売するSpectralWave WXシリーズは、これらの団体が策定した光伝送装置のオープン仕様に準拠した。光伝送装置の機能ごとに装置を分離し、オープン仕様に基づいて異なるベンダー機器とも接続できるようにしている。

垂直統合型の従来モデルを機能分離した、オープン化モデルを採用した
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垂直統合型の従来モデルを機能分離した、オープン化モデルを採用した
(出所:NEC)

 具体的には、光伝送装置である「ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)」を機能ごとの4製品に分離した。ROADMの光スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)や光アンプの機能を担う「WX-Dシリーズ」、波長の合分波機能を担う「WX-Sシリーズ」、光信号と電気信号を変換するトランスポンダー機能である「WX-Tシリーズ」、そしてトランスポンダー機能と光スイッチ機能を備えた「WX-Aシリーズ」である。

ROADMの光スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)や光アンプの機能を担う「WX−Dシリーズ」と、波長の合分波機能を担う「WX-Sシリーズ」
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ROADMの光スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)や光アンプの機能を担う「WX−Dシリーズ」と、波長の合分波機能を担う「WX-Sシリーズ」
(出所:NEC)
トランスポンダー機能に相当する「WX-Tシリーズ」
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トランスポンダー機能に相当する「WX-Tシリーズ」
(出所:NEC)

 光伝送装置の機能のうち、トランスポンダー部分は技術革新が速い。データセンター事業者などを中心に、容量拡大のために最新のトランスポンダー機能を使いたいというニーズが大きいためだ。従来の一体型装置の場合、頻繁な機器の入れ替えが難しかった。機能ごとに分離した装置を採用することで、トランスポンダー機能部分だけを最新の機種に切り替えるといった導入が可能になる。

 NECはスイッチやルーター製品と同様に、光伝送装置の世界にもオープン化の波が浸透すると予想する。2025年度ごろにオープン化された機器で構成されたエコシステムが本格的に回り始め、2027年度には光伝送装置市場の20〜30%がオープン化対応製品になるとみる。同社はこの時点でオープン化市場の25%のシェア獲得を目指し、「光伝送装置のオープン化市場のリーダーのポジションを取る」(NECの佐藤氏)と力を込める。