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 オリンパスが、使い勝手を高めた外科手術用内視鏡システム「VISERA ELITE Ⅲ(ビセラ・エリート・スリー)」を2022年9月以降、世界各国・地域(欧州、中東、アフリカ、アジアの一部地域、オセアニア、日本)で発売する(図1)。高画質での観察と奥行き感のある画像での観察の両機能を備える。同社とソニー、両社による医療事業合弁会社であるソニー・オリンパスメディカルソリューションズ(東京都八王子市)の3社が協業して開発した。

図1 外科手術用内視鏡システム「VISERA ELITE Ⅲ」
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図1 外科手術用内視鏡システム「VISERA ELITE Ⅲ」
左は55インチ型、右は32インチ型のモニター。野菜(パプリカ)を使ったデモ映像。(写真:日経クロステック)

 新しい外科手術用内視鏡システムは、モニターと、カメラヘッドからの信号を画像処理してモニターに映し出すビデオシステムセンター、光源装置、カメラヘッドから成る。従来は機種によって分かれていた4Kの高画質観察機能と、奥行き感のある3D観察およびIR観察機能を取り込んだ。患部を詳細に観察するために高画質が必要な手術も、臓器や骨盤の深い部分に入っていくような奥行き感を要する手術も、1つのシステムで対応できるとしている。

* IR観察 蛍光剤を投与して、近赤外光(IR)を照射した際に発生する蛍光を観察する機能。

 そのために、HDと4Kの画像処理系を1つに統合した。加えて、IR観察向けに励起光の出力を高め、微弱な蛍光でも4Kの感度で映し出せるように画像処理を工夫しているという。

 カメラヘッドは、より手術に適した機能の向上を図った。まず、スコープ(光学視管)の動きに合わせてフォーカスを自動調整する「C-AF(Continuous Auto Focus)」を搭載。フォーカスの速さではなく安定感を優先し、外科手術を行う医師の視覚に与えるストレスを極力低減した。

 具体的には、手術器具である鉗子(かんし)がカメラの撮影領域に入ってきても邪魔されず、常に医師の見たい患部に焦点が合うように造り込んだ。