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 三陽商会とパナソニックグループ(以下パナソニック)は、三陽商会が2022年9月17日に「渋谷スクランブルスクエア」(東京・渋谷)でオープンしたサステナブルファッションブランド「ECOALF(エコアルフ)」の店舗で、セルロースファイバー55%の成形材料「kinari」を使った商品と備品を展開すると明らかにした。ECOALFは欧州発のブランドで、リサイクル素材や環境負荷の低い天然素材のみで作られた衣服や雑貨を製造・販売する。新店舗では、パナソニックが開発したkinariで成形した9色のタンブラー(コップ)を販売し、合わせて店頭で利用するハンガーの一部も材料にkinariを採用する(図1)。

図1 9色のタンブラー
図1 9色のタンブラー
上の棚の左半分がタンブラー。その右にある保温ボトルに色を合わせた。渋谷スクランブルスクエア7階のECOALF店舗で。(写真:日経クロステック)
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 kinariは、間伐材などの木質から粉砕によって得たセルロースファイバーを半分以上含む素材。残りの45%はポリプロピレン(PP)などのプラスチックだが、パナソニックは廃棄する木質を再利用できて化石燃料の使用量を減らせる素材として活用を図っている。

 両社は2022年4月から、ECOALFのスーツにkinari製ボタンを採用(図2)。この他、kinari製のタンブラーを製作した。タンブラーはECOALFの保温ボトル「BECAUSE」の色と同じ9色のバリエーションがあり、同年9月からは保温ボトルを秋冬モデルの新色へモデルチェンジするのに伴って、タンブラーも新色のものを製作。パナソニックがアサヒビールに供給したkinari製「森のタンブラー」と同じ金型で成形した。

図2 kinari製のボタン
図2 kinari製のボタン
ECOALFの2022年春夏モデルのスーツにkinari製のボタンを採用。写真は秋冬モデル用で、少しデザインを変更した。(写真:日経クロステック)
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 三陽商会によれば、ここ2~3年でリサイクルや環境負荷低減に関心を持って服を選ぶ顧客が増えているという。「ECOALFの店舗に来る顧客は、ものの再生利用や再生工程の話に耳を傾けてくれる人が多く、きちんと説明するとそれを体験として持ち帰ってもらえる」(三陽商会事業本部コーポレートブランドビジネス部エコアルフ課長の下川雅敏氏)。渋谷スクランブルスクエアには「Z世代の若い方々も多く訪れる。そういう方々にパナソニックとの協業を知ってほしい」(同氏)。

 ビジネスの実利的な面でも協業効果を期待している。「ファッションブランドとして、店舗で扱うTシャツは6000円とか、靴で1万円台などの価格帯が多い。一方でタンブラーのようなライフスタイル雑貨は1000円などと低めの価格帯だが、いろいろな人が手に取ってくれる商品であり、そういう商品がブランドの中にあるのは意味があると思っている。もしかしたら(一般的なタンブラーなどの価格より)少し高いのかもしれないが、高くても価値を認めてもらえるならkinariのような素材の利用拡大にもよいことなのでは」(同氏)と考えている。