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 「世界の技術で物流全体を最適化していく。これまでヒト型ロボットや清掃・配膳ロボットを手掛けてきたが、これらを超える大きな事業に育てていきたい」

 ソフトバンクロボティクス 常務執行役員兼ロジスティクス事業本部長の坂田大氏は、2022年9月12日に開催した記者向け説明会で、AI(人工知能)やロボットを活用した物流自動化事業への参入を表明した(図1)。そして同9月13日には、同社が提案する物流自動化ソリューションを体験できる施設「SoftBank Robotics Logistics Innovation Lab」を千葉県市川市にオープンした。

図1 ソフトバンクロボティクス 常務執行役員の坂田大氏
図1 ソフトバンクロボティクス 常務執行役員の坂田大氏
新たに参入する物流自動化事業を、これまでのロボット事業を超える規模に育てたいと話した(写真:日経クロステック)
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 これまで同社は、ヒト型ロボット「Pepper」を皮切りに、清掃ロボット「Whiz」や配膳・運搬ロボット「Servi」を開発・販売してきたほか、中国Keenon Robotics(キーンオン・ロボティクス)の配膳ロボット「Keenbot」などを取り扱ってきた。導入実績は世界70カ国以上、3万5000台以上で、業務用屋内サービスロボットの売り上げでは世界首位としている。

 そんな同社が次なるターゲットとして目を付けたのが、深刻な人手不足にあえぐと同時に、自動化があまり進んでいない物流倉庫である。物流倉庫の作業工程は主に、商品の「入荷」「保管」「ピッキング」「仕分け」「出荷」に分かれるが、「倉庫内で自動化されている領域はまだ15~20%しかない」(坂田氏)という。逆に言えば、AIやロボットで自動化できる余地が多いのだ。

 ただし、物流倉庫向けの自動化技術は日本よりも海外の方が進んでいる。そこでソフトバンクロボティクスは「パートナーを求めて、世界中を探し回った」(坂田氏)。その代表例が、高密度自動倉庫システム「AutoStore」を開発するノルウェーAutoStore(オートストア)だ。同社のシステムを日本で取り扱うのは3社目となるが、2021年にソフトバンクの「ビジョン・ファンド2」がオートストアに出資をして株式の40%を取得している。

 AutoStoreは商品を収納するビン(コンテナ)を縦横にびっしりと並べた高密度倉庫である(図2)。その天井部分を専用のロボットが走行し、システムが指示したビンを入出庫作業ステーションであるポートに搬送する。ロボットには複数のタイプがあるが、例えば「R5」と「R5+」は最速移動スピードが3.1m/秒、ビン昇降スピードが1.6m/秒である。

図2 AutoStoreのロボット
図2 AutoStoreのロボット
縦横にびっしり並べられたビンの天井部分を多数のロボットが移動して、システムが指示したビンを搬送する。ロボットの移動ルートは、ソフトウエアが最も効率が高くなるように計算するという(写真:日経クロステック)
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 通常の倉庫では縦に積まれたビンの間には人が作業するスペースが必要になるが、AutoStoreではそのスペースが不要になるうえ、倉庫の天井近くまでビンを積める。このため、保管効率は4倍に向上する。さらにロボットの動きを制御するソフトウエアが最適な移動ルートや順序を計算することで、ピッキング数を通常の3倍、人件費を半減するなどの効果が得られるという。坂田氏は「AutoStoreの取扱業者としては後発なので、価格も含めて大胆な提案をしたい」と話した。