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 三菱ケミカルグループは2022年9月15日、同社のショールームである「KAITEKI SQUARE」のプレス向け内覧会を開催した。同社は日本最大(世界第8位)の化学メーカーであり、自動車向けの各種素材を手掛けている。

マツダ「CX-5」にバイオプラ

 バイオプラスチックに関しては、植物由来の「DURABIO(デュラビオ)」という製品が、マツダの内装部品や「CX-5」のフロントグリルなどに採用されている。

植物由来の「DURABIO(デュラビオ)」で造ったマツダ「CX-5」のフロントグリル
植物由来の「DURABIO(デュラビオ)」で造ったマツダ「CX-5」のフロントグリル
(写真:日経Automotive)
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 植物由来のため、石油の使用量を削減できるほか、原料となる植物が成長する過程で二酸化炭素(CO2)を吸収するため、温暖化ガスの削減にも貢献できるという。樹脂を成形するだけで表面の光沢が得られるため、塗装レスにできるほか、耐衝撃性や耐熱性にも優れるという。なお、生分解性はない。

CFRPがトヨタやアウディに採用

 炭素繊維強化樹脂(CFRP)については、ドイツAudi(アウディ)の「RS 5 Coupe」のルーフに採用された事例を展示した。樹脂を含浸させたシート状の炭素繊維中間材(速硬化プリプレグ)を積層し、プレス機で圧縮成形する三菱ケミカルグループ独自の「PCM(Prepreg Compression Molding)」工法で造っている。

「PCM(Prepreg Compression Molding)」工法で造ったアウディ「RS 5 Coupe」のルーフ
「PCM(Prepreg Compression Molding)」工法で造ったアウディ「RS 5 Coupe」のルーフ
(写真:日経Automotive)
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 トヨタ自動車「プリウスPHV」のバックドアインナーに採用されたCFRPは、長さ数cmの炭素繊維を樹脂中に分散させたシート状材料「SMC(Sheet Molding Compound)」を使っており、プレス成形で造る。強度ではPCM工法のCFRPが優れるが、SMCは成形性に優れ、複雑な形状を短時間で造れるのが特徴だという。

「SMC(Sheet Molding Compound)」を使ったトヨタ「プリウスPHV」のバックドアインナー
「SMC(Sheet Molding Compound)」を使ったトヨタ「プリウスPHV」のバックドアインナー
(写真:日経Automotive)
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 SMCはレクサス「LC500」「LC500h」のドアインナーにも採用されている。

SMCを使ったレクサス「LC500」「LC500h」のドアインナー
SMCを使ったレクサス「LC500」「LC500h」のドアインナー
(写真:日経Automotive)
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 月面探査ロボット「YAOKI」は、ボディーに三菱ケミカルグループのCFRP(PCM工法)を使っている。米航空宇宙局(NASA)の2022年のプログラム「CLPS(Commercial Lunar Payload Services)」で月面を探査する予定である。

PCMを使った月面探査ロボット「YAOKI」のボディー
PCMを使った月面探査ロボット「YAOKI」のボディー
(写真:日経Automotive)
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