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 AI(人工知能)ICのスタートアップ半導体メーカーであるArchiTek*(大阪市)は2022年9月15日に東京で報道機関向け会見を開き(図1)、同社初の量産品「AiOnIc(アイオニック)」(開発コード名:chichibu)を発表した ニュースリリース 。2023年上期にサンプル出荷を、同年下期に量産を開始する予定である。同社はパナソニックでデジタル家電向け画像処理ICを開発してきた高田周一氏が2011年に創業した(図2)。

* 関連記事 パナソニック出身者が開発した、カメラに知能を与える回路
図1 登壇したArchiTekの黒田 剛毅氏
図1 登壇したArchiTekの黒田 剛毅氏
(写真:日経クロステック)
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図2 パナソニックで画像処理ICを開発していたエンジニアが2011年に起業
図2 パナソニックで画像処理ICを開発していたエンジニアが2011年に起業
(出所:ArchiTek)
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 AiOnIcはエッジ機器での画像認識に向けた推論処理ICである。市場には同様なICが数多くある中、新製品の主な差異化ポイントとして次の3つが挙げられる。第1は小型(12mm×12mmのパッケージ封止)ながら、電力効率が3TOPS/Wと高いことである(図3)。米NVIDIA(エヌビディア)のGPU搭載開発ボード「Jetson」に比べて新製品搭載の評価ボードは電力効率が約24倍高いとする。また、画像から複数人の関節点(骨格)を推定するソフトウエア「OpenPose」を、1Wの消費電力でも30フレーム/秒の速度で処理できるという。新製品は台湾TSMC(台湾積体電路製造)の12nm世代プロセスで製造する。消費電力は2W(標準値)であり、ファンレスで機器に組み込めるとしている。

図3 3品種目を量産へ
図3 3品種目を量産へ
これまでに3品種を設計してきた。一番左のarima(開発コード名)はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトで、ソシオネクストと豊田自動織機、ArchiTekが共同で開発したという。中央のbeppu(開発コード名)は新製品(開発コード名はchichibu)の試作チップである(出所:ArchiTek)
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 第2の差異化ポイントは、マイコン機能を備えておりホストプロセッサーが不要なため、搭載機器の小型化に寄与することである。「市場にある推論ICでは、マイコンなどのホストプロセッサーのアクセラレーターとして設計されている製品が少なくない。一方、我々のAiOnIcはホストなしで単体稼働できる」(ArchiTek 取締役CMOの黒田 剛毅氏)。第3の差異化ポイントはプライバシー保護機能を備えていること。例えば、上述したOpenPoseを使うことで、人の入力画像を輪郭や骨格だけの抽象化画像へ最初に変換し、それ以降の処理では抽象化画像を使える(図4図5)。

図4 応用事例:駅の監視カメラへの搭載を想定
図4 応用事例:駅の監視カメラへの搭載を想定
(出所:ArchiTek)
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図5 応用事例:介護施設での利用を想定
図5 応用事例:介護施設での利用を想定
(出所:ArchiTek)
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