全3031文字
PR

 米Intel(インテル)は、プライベートイベント「Intel Innovation 2022」を2022年9月27日と28日(現地時間)にカリフォルニア州サンノゼで開催し、CEOのPat Gelsinger氏が基調講演において、PC向けMPU(マイクロプロセッサー)の新製品「第13世代Coreプロセッサー」(開発コード名:Raptor Lake、以下:第13世代Core)*1を発表した 日本語版ニュースリリース 。今回は第13世代Coreの第1弾で、デスクトップPCに向けたSシリーズ6モデルからなる。ハイエンドモデルの最大動作周波数は5.8GHzであり、競合の米AMD(Advanced Micro Devices)が2022年8月29日(現地時間)に発表した、デスクトップPC向けMPU「Ryzen 7000シリーズ」の最大動作周波数の5.7GHzを少し上回り、PC向けMPUとしては「最高速度」(Intel)となった。

図1 「第13世代Coreプロセッサー」を紹介するIntel CEOのPat Gelsinger氏
図1 「第13世代Coreプロセッサー」を紹介するIntel CEOのPat Gelsinger氏
(画像:Intel)
[画像のクリックで拡大表示]

 新製品は、前世代品「第12世代Coreプロセッサー」(開発コード名:Alder Lake、以下:第12世代Core)と同じく*3、低消費電力重視型CPUコア「Efficient-core」(以下、Eコア)と高性能重視型CPUコア「Performance-core」(以下、Pコア)を組み合わせてCPUを構成する。これをIntelはハイブリッドアーキテクチャーと呼ぶ。第13世代Coreは、2世代目のハイブリッドアーキテクチャーのMPUになる。

 Intelは新製品のハイエンドモデルである「Core i9-13900K」を例にして、新製品と前世代品との主な違いを3つ示した(図2)。最初は最大動作周波数の違いである。新製品のCore i9-13900Kでは5.8GHzであり、前世代のハイエンドモデル「Core i9-12900K」の5.2GHzから0.6GHz上昇した。なおIntelは前世代の特別限定品として最大動作周波数が5.5GHzの「Core i9-12900KS」を2022年3月に発表している*4。Gelsinger氏によれば、第13世代でも最大動作周波数が6.0GHzの特別限定品の提供を予定している。この特別限定品は、2023年の早い時期に提供を始めるという。

図2 第13世代Coreと第12世代のハイエンドモデルの主な違い
図2 第13世代Coreと第12世代のハイエンドモデルの主な違い
(出所:Intel)
[画像のクリックで拡大表示]

 話をCore i9-13900KとCore i9-12900Kの違いに戻す。2つ目の違いはEコア数である。Core i9-13900KのEコア数は16で、Core i9-12900Kの8から2倍になった。Pコア数はどちらも8なので、Core i9-13900Kのコアの総数は24である。また、スレッド総数は32となった(Pコアは1スレッド、Eコアは2スレッド)。3つ目の違いはL2キャッシュ容量である。Core i9-13900KではPコア1個当たり2Mバイトで、Core i9-12900Kの1.25Mバイトよりも増えた。Eコアは4個で1つのクラスターを構成しており、同クラスター当たりのL2キャッシュ容量は、Core i9-13900Kでは4MバイトとCore i9-12900Kの2倍になった。なお、Core i9-13900Kのシングルスレッド性能はCore i9-12900Kより15%、マルチスレッド性能は41%向上した(図3)。

図3 マルチスレッド性能の向上はEコアの増加が効いた
図3 マルチスレッド性能の向上はEコアの増加が効いた
(出所:Intel)
[画像のクリックで拡大表示]

 上記の性能向上を支えた技術は複数ある(図4)。まず、製造に使う半導体プロセスの改良。第13世代Coreの製造プロセスは第12世代Coreと同じく「Intel 7」と発表されているが、「同じ名前でいいのかという声が社内で上がるほどの大きな改良が施された」(日本法人のインテル)。特にトランジスタのチャネル移動度が向上したという。また、今回、Pコアは第12世代の「Golden Cove」から第13世代では新たな「Raptor Cove」に変更された。Raptor Coveでは、遅延が大きなパス(いわゆるクリティカルパス)の改良といった回路の最適化を図った。これにより例えば、同じ電源電圧ならば600MHz動作周波数を上げたり、同じ動作周波数ならば電源電圧を50mV下げたりできるようになった。また、キャッシュに関して、プリフェッチのアルゴリムを改良した。

図4 性能向上を支えた技術の例
図4 性能向上を支えた技術の例
(出所:Intel)
[画像のクリックで拡大表示]