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 「バーチャルプロダクション」をご存じだろうか。演者の後ろに巨大な大型のLEDディスプレーを置き、背景としてCG(コンピューターグラフィックス)映像や自由視点の実写映像を表示しながら撮影する新しい映像制作手法である。映画「STAR WARS(スター・ウォーズ)」初のテレビドラマシリーズである「The Mandalorian(マンダロリアン)」の制作に使用されたことで広く知られるようになった。

 2022年9月22日、銀座にある「Ginza Sony Park」の主催で、バーチャルプロダクション技術を使った世界初の試みをするとのことで記者は東京都江東区にある「清澄白河BASE」を訪れた。これは、ソニーPCLが運営するクリエーティブ拠点であり、施設内にはバーチャルプロダクションスタジオなどがある。

 ここで、人気のヒップホップユニット「Creepy Nuts」が実験的な音楽ライブ配信を実施するという。つまり、「バーチャルプロダクション×ライブ配信」である。しかし、どんなイベントになるのか期待は膨らむものの、何が起こるのかまったく想像できなかった。

 そもそもバーチャルプロダクションのメリットは、わざわざロケハンに出向かなくてもスタジオ内で何度も撮り直すことで映像の完成品をつくれる点にある。一方で、ライブ配信は一発勝負だ。その真逆ともいえる性質を持つ両者を掛け合わせると何が生まれるのか。視聴者にとっては何が新鮮なのか。ライブ配信の前に、Ginza Sony Parkを運営するソニー企業 代表取締役社長の永野大輔氏に聞いてみた(図1)。

 「まだ誰もやったことがないので、何が生まれるのか我々にも分からない」。永野氏はこう答えた。「まだ手探りの状態であり、今日のイベントは可能性を探るための第一歩だ」

図1 ソニー企業代表取締役社長兼チーフブランディングオフィサーの永野大輔氏
図1 ソニー企業代表取締役社長兼チーフブランディングオフィサーの永野大輔氏
「誰もやったことがないことをやるのが新たな価値の創造につながる」と話す(写真:日経クロステック)