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 国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)は2022年9月30日(現地時間)、ルーマニアの首都ブカレストで開催中の全権委員会議にて、次期電気通信標準化局長にNTT CSSO (Chief Standardization Strategy Officer)の尾上誠蔵氏を選出した。尾上氏は、国際標準化の総本山であるITUにおいて「6G」など2030年代に向けた標準化をリードしていく重責を担う。日本勢からすれば、国際標準機関トップのポジションを取ったことで、世界に大きなプレゼンスを示す格好になった。

ITUの次期電気通信標準化局長に当選した、NTT CSSO (Chief Standardization Strategy Officer)の尾上誠蔵氏。「LTEの父」として世界的に知られる
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ITUの次期電気通信標準化局長に当選した、NTT CSSO (Chief Standardization Strategy Officer)の尾上誠蔵氏。「LTEの父」として世界的に知られる
(出所:ITU)

 ITUは、193の国・地域が加盟する電気通信に関する国際連合(国連)の専門機関だ。国際的な周波数の分配や電気通信の標準化、開発途上国に対する支援などを主な任務とする。1999年から2006年にかけて旧郵政省出身の内海善雄氏がトップとなる事務総局長を務めた。日本人がITUの主要ポストに就くのは内海氏以来となる。

 尾上氏は、NTTドコモの元最高技術責任者(CTO)であり、LTEのコンセプトをいち早くつくり上げたことで、世界的にも「LTEの父」として知られる人物だ。

 ITUでは4年に1度、幹部選挙が行われる。今回の次期電気通信標準化局長選挙には、尾上氏のほか、チュジニアとドイツからの候補者が名乗りを上げた。尾上氏は投票権を有する181の会議参加加盟国の投票に対し、過半数に当たる93票を獲得し、他の候補者を破った。

 当選直後に現地からのオンラインインタビューに応えた尾上氏は、「ITUの幹部選挙では、ITU内部から選ばれるケースが多く、民間企業出身者が少ない。標準化を世界に広げるためには、産業界がモノをつくる必要がある。民間企業出身で産業界と関係が深い点が逆に評価されたのではないか。技術変化が激しい時代に、技術について長い経験を持つ点も強みになったようだ」と選挙の勝因を述べた。

当選直後のオンラインインタビューに応えた尾上氏(中央)と、NTT会長の澤田純氏(右)、NTT副社長の川添雄彦氏(左)
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当選直後のオンラインインタビューに応えた尾上氏(中央)と、NTT会長の澤田純氏(右)、NTT副社長の川添雄彦氏(左)
(出所:オンラインインタビューの様子を日経クロステックがキャプチャー)

 電気通信標準化局長のポストは、電気通信分野のあらゆる国際標準をまとめる重要な責務を担う。尾上氏は2023年初頭に就任し、任期は4年だ。6Gの標準化に向けた重要な時期に登板することになる。

 尾上氏は「6Gはさまざまな団体で別々の議論が始まっている段階。それをITUでどう関わっていくのか。ITUは世界に標準を広げられる大きな力を持つが、先進国中心で決まっている面も大きい。そこに発展途上国の意見をどう取り入れるのか。電気通信標準化局長に就いた際には、こうした点に力を入れたい」と抱負を語った。