電池メーカーの中国Envision AESC Group(エンビジョンAESCグループ)が、“日産依存”の解消を着々と進めている。同社は2022年10月20日、ドイツBMWからの受注を初めて獲得したと発表した。米国に電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の新工場を立ち上げ、2025年以降に生産・供給を開始する見込みだ。
日産自動車の子会社として電池生産を担当してきたオートモーティブエナジーサプライ(AESC)。中国の再生可能エネルギー大手であるエンビジョン(Envision)グループの傘下に入り、エンビジョンAESCグループとして2019年4月に再出発した。同社への日産の出資比率は約20%である。
現状の生産能力は年産12.5GWhほどで、2026年までに同300GWhへと拡大する計画だ。電池供給先は日産とフランスRenault(ルノー)、三菱自動車による3社連合が全体の9割以上を占めるが、今後は供給先が増える。ホンダは2024年に発売予定の商用軽EVに、エンビジョンAESCグループの電池を搭載する。
ドイツMercedes-Benz Group(メルセデス・ベンツグループ)も電池調達を決めた。エンビジョンAESCグループは米国ケンタッキー州に工場を建設中で、そこで生産した電池をメルセデス・ベンツに納める。同工場は2025年に稼働予定で、生産能力は年間30GWhである。エンビジョンAESCグループは、米国ではテネシー州の工場で電池を量産中で、ケンタッキー工場は2拠点目になる。
BMWに供給する電池は、これらとは別の拠点で生産する。米国サウスカロライナ州に新工場を建設する予定だ。建設候補地は、BMWがEVの車体や電池パックを組み立てる工場の付近を想定する。新工場では、円筒形の電池セルを生産する可能性が高い。