米半導体大手onsemi(オンセミ)が2022年10月25日、ダイナミックレンジ150dBを達成した車載向けのイメージセンサーを都内で発表した(図1)。競合他社の製品で最もダイナミックレンジが広いもので130dB程度だという。同社はより多くの電子数を扱える独自技術を開発することで、さらに広いダイナミックレンジを実現したとする。現在同製品は開発中であり、量産化については未定。
同社は電力制御(インテリジェントパワー)、センシングに関連した技術の開発に注力している。車載用のイメージセンサーは同社がトップシェアを握る分野で、特に注力している(図2)。今回発表したセンサーは同社の800万画素のセンサーを改善したもので、「コントラストが大きい状況でも絵を捉えて、車の安全性を高める」という。
飽和電子数を改善し、高ダイナミックレンジを実現
イメージセンサーは光電変換で発生した電子をフォトダイオードと呼ばれるバケツのようなものにため、これを読み出すことで実現している。これまでの同社の製品ではバケツの中からあふれた電子は捨てていた。
しかし、新製品はバケツの中からあふれた電子を別のバケツにためることで、これまでのセンサーより多くの電子の読み出しを実現し、ダイナミックレンジを改善した。従来品が扱える電子数が13000eーなのに対し、新製品は650000eーと50倍高めた。
この改善の結果、同社の従来センサーが4回露光でダイナミックレンジ140dBだったのに対し、新製品は2回露光で150dBにダイナミックレンジを拡大できた(図3)。どちらも画素数800万画素で、画素のセルサイズは2.1μmである。