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 避雷針の代わりをするドローンを雷雲に合わせて飛ばし、高精度に雷を捕捉してインフラ設備やビルを守る……。NTTは2022年11月16日~18日にオンラインで開催中の「NTT R&Dフォーラム 2022」で、ドローンを活用した落雷制御技術を紹介している。中でも、今回の展示の目玉は、一般的な雷の5倍の強さの電流に耐えられるドローンである(図1)。

図1 開発した耐雷ドローン
図1 開発した耐雷ドローン
平均的な雷の5倍の強さに相当する120kAの電流に耐えられる。雷の電流は金属製のケージ部分を流れる。離陸重量は6kg(写真:日経クロステック)
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 ドローンを飛ばして、雷をそこへ誘うためには、ハードウエア面とソフトウエア面で実現しなければならない技術が複数ある。まず、ハードウエアとしては、悪天候の中でも飛べる高い飛行性能と安全性を兼ね備えると同時に、高い耐雷性を持つドローンが必要になる。さらに、ドローンを用いて意図的に雷を発生させる誘雷技術も重要だ。

 一方、ソフトウエアとしては、天候を予測していつどこに雷雲が発生するかを見極める技術や、高高度にドローンを飛ばして最適配置する技術などの開発が求められる(図2)。

図2 落雷制御技術の概要
図2 落雷制御技術の概要
「動く避雷針」として街や施設を雷から守ったり、安全な場所に雷を事前に落としたりする使い方を想定している(写真:日経クロステック)
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 今回展示している耐雷ドローンは、機体を特殊な金属製のシールドで覆うことで、雷の直撃を避けるとともに、落雷で発生する磁界からドローンが搭載する電子機器を防御する電磁シールドを施してある。機体の離陸重量は6kgだという。

 このドローンは送信機(プロポ)の操作によって、空中で導電性のワイヤーを投下して地上放電を引き起こし、それをトリガーとして雷を発生させる機能を持つ。ドローンに落ちる雷の電流は金属シールド部分を流れる。平均的な雷の5倍に相当する120kAの電流に耐えられることを確認済みという。