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 イタリアAutomobili Lamborghini(アウトモビリ・ランボルギーニ)の会長兼最高経営責任者(CEO)であるステファン・ヴィンケルマン氏は、2030年以降にランボルギーニ車の動力源として、「合成燃料(e-fuel)の可能性を模索している」と語った。日本法人であるアウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパンが、2022年11月に開いたイベント「Lamborghini DAY Japan 2022」で明かした。

ステファン・ヴィンケルマン氏
ステファン・ヴィンケルマン氏
(写真:日経クロステック)
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 パワートレーンの電動化は自動車メーカー各社が進めているが、スーパーカーを製造するランボルギーニも例外ではない。ヴィンケルマン氏は限定モデルを除き、「2022年は内燃機関車のみを販売する最後の年になる」と話す。

 同社は2023年から、プラグインハイブリッド車(PHEV)を随時投入していき、2024年には全てのモデルを電動化する予定だ。2028年には電気自動車(EV)の発表も控える。同社は2022年~2026年に、これらの電動化に18億ユーロを投資するとしている。これにより、2030年には「今日と比較して、フリートの二酸化炭素(CO2)排出量を80%以上削減する」(ヴィンケルマン氏)計画だ。

同社の電動化の方針
同社の電動化の方針
2028年には同社初のEVを発表する予定だ。(写真:日経クロステック)
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 同社が大胆に電動化へ舵(かじ)を切るのは、各国の規制が関連している。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は、2030年に新車からのCO2排出量を、2021年比で55%削減する規制を発表している。2035年には100%の削減を目指しており、実質的に内燃機関車やHEVは販売できなくなる。

 同社最大の市場である米国も同じだ。2021年にバイデン大統領は、2030年に新車販売の50%をEVにする目標を掲げた。

今後の電動化戦略について話すヴィンケルマン氏
今後の電動化戦略について話すヴィンケルマン氏
(写真:日経クロステック)
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 ただ同社は、電動化を進めると共に、e-fuelを使用した車両の投入も模索している。e-fuelは、CO2と水素(H2)を合成して造る燃料だ。現行の内燃機関車でも活用でき、CO2の排出量を低減できる利点がある。スーパーカーを製造する同社には、伝統のある内燃機関車を望む顧客の声も少なくない。そのため、完全にEV一辺倒とするわけではなく、e-fuelで内燃機関と環境の持続可能性の両立を探る。

 ヴィンケルマン氏は「各国の法律的に可能で、世の中に流通する量が十分賄える範囲になれば、2030年以降にe-fuelを使用した内燃機関車の発表を検討している」とした。併せて「それがかなわないのであれば、完全電動化以外に道はない」(ヴィンケルマン氏)と語った。