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 アイシンは2024年の量産車への搭載を目指す次世代の自動駐車支援システムにFPGA(Field Programmable Gate Array)ベースの車載SoC(System on Chip)を採用した。米AMD(Advanced Micro Devices)が2022年2月に買収した米Xilinx(ザイリンクス)のSoC「Zynq UltraScale+」を使う。

 AMDによると、これまでの自動駐車支援システムは主に超音波センサーによって周囲の物体を把握しており、アラウンドビューモニターのシステムとは切り離されていた。これに対し、アイシンの次世代システムは車両の前後左右に設けた4台のカメラと、12台の超音波センサーを組み合わせ、AI(人工知能)によって歩行者や車両、駐車場の空きスペースなどを検出する。

 また、従来の自動駐車支援システムでは運転者がブレーキを操作することが多く、主にステアリング操作が自動化されていた。これに対し、アイシンの次世代システムはステアリングやブレーキ、変速機、アクセルを自動化し、衝突の危険性がある場合には緊急自動ブレーキを作動させるとしている。

アイシンの次世代自動駐車支援システムの概要
アイシンの次世代自動駐車支援システムの概要
操作手順などはこれまでの自動駐車支援システムに近いようだが、より自動化のレベルを高めているとみられる(出所:AMD)
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 自動駐車支援システムの世界市場は、2021年の5億米ドルから2028年に61億米ドルに成長する見通しで、この間のCAGR(年平均成長率)は52%に達するという。また、地域で見ると中国や日本を含むAPAC(アジアパシフィック)市場が多くを占める。

自動駐車支援システムの市場予測
自動駐車支援システムの市場予測
(出所:AMD)
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 AMDのAECG(Adaptive & Embedded Computing Group)でオートモーティブ製品マネジメントおよびマーケティング担当シニア・マネージャーを務めるレハン・タヒル(Rehan Tahir)氏によると、「今後3~4年で高級車に自動駐車支援システムが標準搭載される方向」であり、一般的な乗用車にも普及する可能性がある。実際、アイシンの次世代システムは高級車だけでなく、「エントリークラスの乗用車も視野に入れている」(同氏)と言う。

AMDのAECG(Adaptive & Embedded Computing Group)でオートモーティブ製品マネジメントおよびマーケティング担当シニア・マネージャーを務めるレハン・タヒル氏
AMDのAECG(Adaptive & Embedded Computing Group)でオートモーティブ製品マネジメントおよびマーケティング担当シニア・マネージャーを務めるレハン・タヒル氏
(出所:AMDのオンライン会見からキャプチャー)
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