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 オーディオ技術を開発するミューシグナル(仙台市)は、5GHz帯のWi-Fiを用いてパソコンなどに保存した音源から10台以上のスピーカーに無線で音楽を配信する技術「ミュートラックス」を開発した。同社は2022年11月16日~18日に開催されている映像・放送機器の総合イベント「Inter BEE 2022」に同技術を出展している(図1)。

図1 5GHz帯のWi-Fiを使った無線音楽配信システム
図1 5GHz帯のWi-Fiを使った無線音楽配信システム
ミューシグナルのブースでは、パソコンに保存した音源データを壁に掛けた複数の“アート風スピーカー”に無線配信している。スピーカーには無線の子機やバッテリーが搭載されている(写真:日経クロステック)
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 具体的には、パソコンに保存した音源データをブースの壁に設置した複数の“アート風スピーカー”に無線配信して再生している。「展示会場内はWi-Fiの電波が飛び交う非常に厳しい環境だが、音飛びをしないことを実証できた」(同社)としている。

 これまでパソコンやスマートフォン、音楽配信端末から音源データをスピーカーへ無線で配信する際、通信手段としてBluetoothが使われてきた。ところが、Bluetoothで用いる2.4GHz帯の電波は、使える帯域が狭いうえ、他のWi-Fiシステムや電子レンジなどの電波干渉の影響を受けやすく、伝送距離も5~10mに限られていた。また、1台の音源から配信できるスピーカーは1台のみの製品が多かった。

 このため、店舗やイベント会場で複数のスピーカーに音源データを伝送したい場合はオーディオケーブルを使った有線接続をするしかほとんど選択肢がなく、事前の配線工事が必要だったり、レイアウトに制約が生じたりする課題があった。

 ミューシグナルが開発したミュートラックスは、無線の親機と子機から成る(図2)。音源データを保存した端末と親機をUSBで接続する一方、デジタルスピーカーと子機をUSBで接続する。子機はオーディオケーブルでアナログスピーカーと接続することも可能だ。

図2 ミュートラックスの親機の内部
図2 ミュートラックスの親機の内部
スピーカーと100m以上の距離が離れていても音楽を配信できるが、より大きなアンテナを使えば300m飛ばすことも可能という(写真:日経クロステック)
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