東芝に対する日本産業パートナーズ(JIP)の買収提案を巡り、ロームが最大3000億円規模の投資額で参画を検討していると、日本経済新聞が2022年11月16日に報じた。日経クロステックがロームに確認したところ、「出資を検討していることは事実だが、金額など詳細は何も決まっていない」と答えた。
ロームにとって、東芝の事業は魅力的だろう。ロームの主力事業は大規模集積回路(LSI)とパワー半導体だが、家電など比較的小電力を狙った製品が多い。一方、東芝は小電力の製品も持つが、電車や、電力用インフラなど、大電力にも強く、ロームが持たないモーターなども手掛ける。最近では、電動航空機向けのモーターを開発したとの発表もあった(関連記事1)。
さらに、東芝は、低耐圧だが、パワー半導体とMCUを1チップ化できるようなユニークなプロセス技術も持つ(関連記事2)。一気通貫のソリューションとして、幅広い業界にロームの事業を広げていく上で、東芝のこうした製品群は是非とも手に入れたいものだろう。
ロームは現在、車載分野、中でも次世代パワー半導体と目される「炭化ケイ素(SiC)」の開発と設備投資に力を注ぐ(関連記事3)。一方の東芝もSiCを長年手掛けており、2022年8月には新世代デバイスの量産を開始している(関連記事4)。