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 米Micron Technology(マイクロンテクノロジー)は2022年11月16日、最先端DRAM製造プロセス「1β」(1ベータ)の量産開始を祝う式典を、その製造現場であるマイクロンメモリ ジャパンの広島工場(広島県東広島市)で開催した。同工場は、買収した旧エルピーダメモリの開発・製造拠点で、マイクロンにとっても主力の開発・製造拠点と位置づけ、大幅な投資と拡張を続けている(図1、図2)。

 今回の式典と合わせて行われた記者説明会や、記者会見の説明で驚かされたのは、マイクロンの広島工場への力の入れ方だ。マイクロンは、2013年のエルピーダメモリ買収後、広島工場に対して約130億米ドル(約1兆8200億円、1米ドル=140円で計算)を投資してきたという。「過去5年間の投資額は外資系企業として最大」だと同社は胸を張る。

図1 広島工場の全景
図1 広島工場の全景
(写真:Micron Technology)
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 1βについては「過去3年間、量産立ち上げの研究開発に毎年数億米ドル(2~3億米ドルとすると280億~420億円)を費やしてきた。さらに今後2年間で同技術のさらなる発展のため毎年10億米ドル(1400億円)以上費やす」(マイクロン Executive Vice President, Global OperationsのManish Bhatia〔マニッシュ・バーティア〕氏)とした注1)。日本政府がマイクロンの広島工場に対して最大約465億円の助成金を与えることが決まったが、これに対しては「助成は大変ありがたいが、パッケージングして最終製品にするまで、(DRAMの製造に関する)大半の資金はマイクロンから出ている」(同氏)と明かす。

注1)政府の助成金を得る際に、マイクロンが日本政府に提出した資料では、1βの生産施設整備を行うために必要な資金の額として約1394億円、整備した特定半導体生産施設における生産を行うために必要な資金として年間約860億円の見込みだとしている。

図2 「1β」製造工場の内部の様子
図2 「1β」製造工場の内部の様子
(写真:Micron Technology)
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