台湾MediaTek(メディアテック)は、2022年11月25日に東京にある日本法人で報道機関向け会見を開催した(図1)。その中で、スマートフォン向けSoC(System on a Chip)の出荷個数が、2020年第3四半期から2022年第2四半期まで8四半期連続で競合の米Qualcomm(クアルコム)よりも多いことをアピールした。
さらに、Qualcommの独壇場だったプレミア(最上級機種)スマホ向けSoCでも、MediaTek製品が受け入れられるようになったとし、具体例として2022年11月8日(台湾時間)に発表の5G対応SoC「Dimensity 9200」を紹介した 日本語版ニュースリリース 。以前のスマホ向けSoC市場では、ハイエンド(上級機種)向けはQualcomm、メインストリームやローエンド機種向けはMediaTekという棲(す)み分けがあった。今回の会見では、「そうした棲み分け過去のもので、今やMediaTekはQualcommと同等以上になった」と訴えた格好である。
Dimensity 9200には、第2世代の台湾TSMC(台湾積体電路製造)の4nm世代プロセスで製造する、英Armの民生機器向け最新ハイエンドCPUコア「Cortex-X3」*1を集積するなど、「世界初」(MediaTek)の仕様が多数ある(図2)。レイトレーシング処理向けハードウエアの集積もその1つで、会見ではその効果を訴える動画を見せた(図3)。なお、MediaTekが世界初と主張する仕様の多くは、Qualcommが2022年11月16日(米国時間)に発表したスマホ向けSoC「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform」*2でも同じである(Dimensity 9200のほうが発表日が早かったため、世界初と称しても間違いではないと思われる)。