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「廃止でいいのではないか」――。社内の不要論を乗り越え、トヨタ自動車が5代目「プリウス」の屋根に太陽光パネルを搭載するオプションを残した。
トヨタがプリウスの屋根に太陽光パネルを付け始めたのは3代目から。太陽電池の電力でブロアを作動させて車内を自動的に換気する「ソーラーベンチレーションシステム」を採用した。
続く4代目では、太陽電池の電力によってプラグインハイブリッド車(PHEV)の駆動用電池の充電に使えるようにした。「ソーラー充電システム」と名付けたオプション装備で、駐車中は発電した電力を駆動用バッテリーに充電。走行中は、発電した電力をリチウムイオン電池に送るのではなく、補機類を動かす電圧12Vのシステムに供給する。
今回の5代目プリウスでも、PHEVにソーラー充電システムを用意した。基本的な機能は4代目と同じで、1年間で走行距離約1250km分に相当する電力を生み出す。
“悪目立ち”していた補助電池
トヨタ社内の廃止派が気にしたのが、ソーラー充電システムのコストである。4代目プリウスのシステムでは、停車中は太陽光パネルで発電した電力をニッケル水素電池に一時的に蓄え、駆動用のリチウムイオン電池にまとめて送ることで同電池を充電していた。
発電のたびにリチウムイオン電池のシステムを起動させていては電力損失が大きくなり、また充放電の頻度が増えると電池の劣化が加速する。トヨタはこうした課題を発電電力の一時保管用としてニッケル水素電池を追加することで解決したが、「余計な部品としてやや“悪目立ち”していた」(同社のパワートレーン技術者)という。