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 「(製造工程からの)二酸化炭素(CO2)削減は自動車メーカーにとって重要な課題だ。ロードマップを作成して検討を進めている。現時点で決定はしていないが、検討項目の中には、ホットスタンプ材(高張力鋼板の熱間プレス材)から高張力鋼板の冷間プレス材への切り替えも含まれている」──。

 SUBARU(スバル)執行役員で技術本部副本部長兼CTO室長の植島和樹氏は、2022年11月30日にオンライン開催した衝突安全の取り組みに関する説明会で、今後のボディー骨格の「脱ホットスタンプ」について言及した(図1)。

植島和樹氏
図1 スバル執行役員の植島和樹氏
(出所:オンライン説明会の画面をキャプチャー)
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 スバルが2023年以降に日本で発売する新型SUV(多目的スポーツ車)「クロストレック」は側面衝突に対応するため、センターピラーにホットスタンプ材を適用する予定だ。2種類のホットスタンプ用素材を溶接した後に、加熱してプレス成形する構造になる(図2)。

クロストレック
図2 新型SUV「クロストレック」
(写真:スバル)
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 プレス成形後の冷却によって、同ピラーの根元とその他の部位の強度が変わるのが特徴だ。根元が440MPa級、根元以外の部位が1.5GPa級である。こうした構造にすることで衝突時の変形モードを制御し、同ピラーの乗員室への侵入量を減らせる(図3)。

クロストレックのボディー骨格
図3 クロストレックのボディー骨格
(画像:スバル)
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