NECは2022年11月30日、同社の研究開発と新規事業創出の取り組みを紹介する「NEC Innovation Day」を開催し、人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)や生体認証などに関する最新技術を披露した。
製造業のDXを支援する技術では、作業者の手指の細かい動きをカメラで捉え、AIによって作業時間や手順をリアルタイムに表示するシステムを展示した(図1)。人手による作業を見える化することで生産性の向上や品質の改善に役立つという。
例えば、ネジ締め順序の正誤は、製品の強度など品質に大きな影響を与えることがあるが、組み立てた後の製品を検査しても、どのような順序でネジを絞めたかまでは把握できない。本システムにより、誤った手順で組み立てたときはリアルタイムに作業者へ警告を出し、こうした作業ミスを未然に防げる。
具体的には、正しい作業内容と標準作業時間を定めた「規定工程」に対して、実際の作業を記録した「計測工程」とその「実作業時間」、工具の準備などにかかった「その他時間」を比較する(図2)。各工程の作業時間を帯グラフで表示し、どの工程にどのくらい時間がかかっているかが一目で分かるようにした。規定工程と計測工程が異なる場合は、誤った計測工程を赤字で表示し、必要に応じて音などで知らせることもできる。
これまでも映像から作業者の肩や肘、手首などの動きを認識して作業内容を分析する技術はあったが、手指の細かな動きを伴う作業には対応できていなかったという。また、さまざまな部品や工具を用いた作業を識別するには、それらの画像を用意してあらかじめ登録する必要があった。
同社は2022年度中のサービス開始を目指す。システムの導入に要する期間は依頼から1カ月ほど。お手本作業の映像が2、3本あれば、それを基にAIモデルを作成してシステムを構築できるという。費用はサブスクリプション方式で、2~3箇所の組み立て工程に導入した場合、年間100万円程度。組み立て作業の他にも、物流の梱包作業やお弁当の盛り付け作業への展開も想定している。