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 台湾TSMC(台湾積体電路製造)は2022年11月30日、大阪市に新オフィスを開設したと発表し、報道関係者向けに施設を公開した。半導体の設計ソリューションを担う海外拠点としては8番目、日本では2番目となる。大阪市に設立した理由については、「関西の半導体人材にアプローチするため」(TSMCデザインテクノロジージャパン ジャパンデザインセンター長の安井卓也氏)と説明する(図1)。

図1 Japan Design Center Osakaのエントランス
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図1 Japan Design Center Osakaのエントランス
企業ロゴの隣には、世界各地の現在時間が表示された時計が掛かり、国際拠点であることを感じさせる。実際にデザインセンターの顧客は日本国内に限らず、グローバルが対象になる(写真:日経クロステック)

 設立したのは、「Japan Design Center Osaka」(大阪市中央区)と名付けるデザインセンター。グローバルの顧客に対し、半導体開発の基礎となるIP(知的財産)設計ソリューションを提供する。TSMCが2020年に設立した横浜市のデザインセンターと「役割は特に変わらない」(安井氏)。「TSMCは2022年中に3nm世代プロセス半導体の量産を始める計画。横浜市/大阪市の拠点でも近い将来3nm世代プロセス以下の半導体技術に移行する予定」(同氏)という。

 「日本の人材は勤務態度が良く、才能がある。より多く、TSMCに迎えたい」――。TSMC デザイン&テクノロジープラットフォーム シニア・ディレクターのLie-Szu Juang(リースー・ジャン)氏はこう語る。国内大学の新卒人材などを積極的に採用し、「現状180人強の国内社員数を2026年までに400人以上に増やす」(同社)計画を立てる注)図2)。

注)なお、2022年11月末時点では、全デザインセンターの社員数は約2200人という。

図2 TSMC デザイン&テクノロジープラットフォーム シニア・ディレクターのLie-Szu Juang氏
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図2 TSMC デザイン&テクノロジープラットフォーム シニア・ディレクターのLie-Szu Juang氏
デザイン アプリケーション サポート オペレーションを率いる。主な業務はチップ設計・実装などの設計ソリューションの顧客への提供。TSMC入社は1996年で、米ベル研究所や米AT&Tなどで技術職の経験がある(写真:日経クロステック)

 大阪市にデザインセンターを設立したのは、関西の理系大学生や関西出身者に積極的にアプローチするためだという。「これまでも関西に家族などがいて離れられないという半導体人材の話を聞いていたことがきっかけの1つ」(同社 担当者)と話す。