子どもの車内置き去りによる熱中症事故が後を絶たない。現在、国内外の自動車部品メーカーが置き去り検知センサーを開発中だ。多くのメーカーは、欧州で自動車アセスメントを手掛けるEuro NCAPの評価基準が厳しくなる2025年を量産の照準に合わせる。そんな中、ルクセンブルクIEEは、2020年に乗用車向け置き去り検知センサー「VitaSense(バイタセンス)」の量産を開始した。2021年末時点で、同社の置き去り検知センサーを搭載する乗用車は、約40万台に達する。IEE最高経営責任者(CEO)のポール・ショックメル氏は「12年前から開発を進めてきた」と話す。
同社は、車載センサーをはじめとする、センサーメーカーだ。車内の乗員検知センサーにおいては、車内置き去り検知センサーに加えて、シートベルトリマインダーセンサーやハンズオフ検知センサーなどを開発・製造する。「30年以上にわたって乗員の安全性を高める車載センサーを開発してきた」(ショックメル氏)という。
車内置き去り検知センサーの開発を始めたのは12年前。ショックメル氏は「子どもの車内置き去りによる事故が年々増えていることに注目し、車内置き去り検知センサーを開発することにした」と話す。
車内置き去りは、ドアの開閉情報や着座センサー、車内カメラでも検知できる。ただ、同社はレーダーセンサーを選んだ。開発当初は車内置き去りを検知する、様々な手段の検討を重ねた。その中で「毛布の下にいる乳児の呼吸や厚手の上着を着た幼児など、カメラでは捉えられない様々な条件下でも乗員を検知できる、レーダーセンサーが最適だと結論づけた」(ショックメル氏)という。バイタセンスは、各国の電波法を考慮して、60GHz帯のミリ波を使用する。