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 日立製作所は2022年12月5日、同社中央研究所(東京都国分寺市)で開いた「2022年度研究開発・知財戦略説明会」で、開発を進める量子コンピューターの関連技術を報道関係者に公開した。組み合わせ最適化問題を高速処理できる「CMOSアニーリング」の他、量子化学計算などに向く「シリコン量子コンピュータ」の2方式を展示した。

 CMOSアニーリングは、量子アニーリングの仕組みを半導体上で疑似的に再現する技術だ。組み合わせ最適化問題に特化しており、従来のノイマン型のコンピューターよりも大規模な問題処理が得意とされている。「同じ問題を解く場合、(ノイマン型に比べて)処理能力は100倍ほど速い」(同社説明員)。2022年10月からクラウドサービスの提供を始めている。

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CMOSアニーリングのデモ展示
CMOSアニーリングのデモ展示
CMOSアニーリングマシン(上)と信号機制御の動作デモ画面(下)。(出所:日経クロステック)
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 同社は説明会で、CMOSアニーリングマシンの実機となる電子回路基板を披露し、道路における信号機の制御を想定した動作デモンストレーションを展示した。縦1500×横1500本の道路が碁盤の目のように交わり、さまざまな規模の渋滞が発生している状況を仮定。なるべく早く渋滞を解消するために、各交差点の信号機をどのように制御すればよいか、計算してみせた。「30秒おきに計算を実施して5分で渋滞を解消できる」(同社説明員)。