全1958文字
PR

グローブ型のウエアラブルスキャナーを開発するドイツ・プログローブ(ProGlove)が日本市場に本格参入する。製品開発を指揮する同社の最高製品責任者であるイーハン・コルコ(Ilhan Kolko)氏と、日本でのビジネス展開を担う同社Senior Business Development Managerの今井伸良氏が、日経クロステックのオンライン取材に応じた。

 ProGloveが開発するハンディースキャナー「ProGlove」は、マッチ箱大のリーダー端末を手の甲に装着する、グローブタイプのウエアラブルスキャナーを中心としたシステム。従来のハンディースキャナーとは異なり、作業者の両手が空くので、手元の作業を極力妨げることなくスキャン作業を素早く行える。電源のオン・オフのスイッチがなく、充電器から取り上げればすぐ使用できる点も特徴。また、本体に加速度センサーを内蔵しており、バーコードのスキャンだけでなく、作業者の歩数や動作のデータも取得・分析できる点も工場や倉庫作業の改善に役立つとして評価されているという。

グローブ型のハンディースキャナー「MARK」
グローブ型のハンディースキャナー「MARK」
(出所:ProGlove)
[画像のクリックで拡大表示]

 中核製品であるスキャナー端末「MARK」は1D/2Dバーコード読み取りに対応し、ユーザーに対して振動や光、音を伝えるフィードバック機能を備える。用途に応じて、ディスプレーを備える「MARK Display」、10cmから600cmと読み取り距離が幅広い「MARK 3」、モデル中で最小かつ最軽量な「MARK Basic」、エントリーモデル「LEO」をラインアップする。ソフトウエアとしては、運用端末の管理や、端末から取得したデータの可視化、APIを用いたエンタープライズシステムとの統合などの機能を備えた「Insight」を提供する

収集したデータの分析画面
収集したデータの分析画面
(出所:ProGlove)
[画像のクリックで拡大表示]
* Insightにはモバイル版もある。

DHLや大手自動車が採用

 新型コロナウイルス感染症拡大による外出制限などの影響で世界的にECサイトが活況となり、荷物の配送数が増加。製造業では、D2C(Direct to Consumer)の動きも加速している。多忙を極める一方で人手不足が深刻化する製造業や物流業の現場で、こうしたウエアラブルのバーコードスキャナーが注目されている。

 実際、ProGloveは航空や自動車、物流などさまざまな業界での採用実績があるという。例えば、物流大手のドイツDHL。同社のハーゲン小包センターでは1拠点当たり、毎日32万~40万件の仕分けに対応している。コロナ禍で日々増加かつ変動する出荷量に対応し、なおかつ作業者の負荷を減らすため、同センターはProGloveを採用。スキャナー端末からデータ収集して可視化する機能を用いて、作業者の生産性の計測や監視も行っているという。