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 リンクス(東京・品川)は2023月1月17日、産業用コントローラー「TRITON」を本格提供すると発表した。TRITONはハードウエアに最新の「Raspberry Pi(ラズパイ)」、OSにチューニング済みの「Linux」を採用したPLC(Programmable Logic Controller)。フリーの代表的なソフトウエアPLCである「CODESYS」を搭載する。標準仕様で6万8000円(税抜)という低価格と産業用の機能を強みに、IIoT(Industrial Internet of Things)や工場の自動化関連の需要を開拓する。

リンクスが開発したTRITON
リンクスが開発したTRITON
(写真:日経クロステック)
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 「従来のコントローラーでカバーできない『不採算ゾーン』と『ジレンマゾーン』を狙う」。同日会見した代表取締役の村上慶氏はターゲットとする市場についてこう定義した。従来のコントローラーは大きく2つのタイプに分けられる。1つ目が三菱電機、オムロン、キーエンスなど国内大手メーカーが提供する汎用のPLC。もう1つは装置メーカーが自社の装置用に自作するコントローラーだ。業務用空調装置や業務用冷蔵庫を年間数万台レベルで出荷するメーカーは、大手メーカーのPLCを購入するよりも自社開発の方がコストを抑えられるため自作する場合が多い。

 不採算ゾーンとは上述のような従来のコントローラーでは投資対効果が得られないような用途を指す。国内大手メーカーの提供するPLCの価格は幅があるものの、相場は30万円程度。「30万円のPLCを工場の隅々まで入れるのは費用対効果に合わず、IoTや見える化、オートメーションを諦めている部分がある」(村上氏)。そうした用途に低価格のTRITONを活用できる。例えば、タンクの振動を見える化したり、従来は人が行っていたドアの開閉作業などを自動化したりできると見込む。「大手PLCメーカーとはすみ分けられる」(村上氏)との考えだ。

 一方ジレンマゾーンとは、自作コントローラーを高機能化したいものの、自社開発では対応しきれない部分を指す。例えば「(産業通信用の国際標準規格である)『OPC UA』やその情報モデルに対応して高度で複雑な機能を持つコントローラーを造ろうとしても難しい」(村上氏)という。加工機のツールチェンジャーや油の温度を測る装置といった周辺機器なども自作コントローラーであるケースが多い。そうしたコントローラーをTRITONに置き換えると、少ない費用で電子制御や自動処理の水準を高められる。

リンクスがTRITONで開拓を目指す市場
リンクスがTRITONで開拓を目指す市場
横軸がコントローラーの出荷台数、縦軸がコントローラーの製造や購入にかかるコスト。図の市場A(不採算ゾーンを含む市場)では工場のIoT化などの需要、市場B(ジレンマゾーンを含む市場)ではコントローラーの高度化に伴う需要を見込む。(出所:リンクス)
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