i-PRO(東京・港)は2023年1月20日、検査やモニタリング、診断といった産業用途や医療用途の撮像向けに、機器組み込み用のモジュール型カメラ「moduca」を発売した(図1)。特徴は、画角や撮像距離、映像の明るさなど要件の異なる用途にオプション次第で幅広く対応できるようにしたこと。1500種類以上の仕様を構成できる上に、価格は「5~6万円から供給できる。カスタマイズ可能な従来のカメラよりも安価」(同社)だという。
カメラの機能を[1]光学モジュールと[2]SoC(映像処理)モジュール、[3]インターフェースモジュールの3つで構成し、それぞれに複数のオプションを用意した(図2)。モジュール間の内部インターフェースを決めておき、さまざまなオプションを自由に組み合わせられるモジュラー設計で開発して、さまざまな利用場面へ対応しやすくした。顧客からカメラ完成品を受注したら、所定のモジュールを組み立てて、受注後3日で出荷する。
ディープラーニング(深層学習)で不良を判定するなどのニーズを想定し、SoCモジュールでモデルの作成や、作成モデルによる映像の判定ができるようにした。学習と判定の運用の切り替えや、画像内の特定部位だけの再学習など、人工知能(AI)に関連する扱いを容易にするソフト「AI検査パッケージ」を2022年2月に発売する予定だ(図3)。クラウドやサーバーを利用したディープラーニングの応用などについてパートナーのAI関連企業と協力する。
ディープラーニングでの画像判定は、画像の解像度や画角、照明などによって精度が大きく変わる場合がある。光学系を別のものに取り換えて精度が改善されるか様子を見たい顧客を想定し、オプションだけでも個別に販売する。SoCモジュールには、ディープラーニングで処理しやすいように画像を調整したり、一部を強調したり、長さを測定したりといった画像処理機能を組み込んだ。