オランダNXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)は、エッジ機器向けアプリケーションプロセッサーの新製品「i.MX 95ファミリ」を2023年1月4日(米国時間)に発表した 日本語版ニュースリリース 。2021年11月に発表の「i.MX 93ファミリ」*1の上位製品に当たる。新製品は、AI(人工知能)処理性能やセキュリティー機能が重要な、自動車や産業機器、IoT機器といったエッジ機器に向ける(図1)。
i.MX 93も様々なプロセッサーコアや回路ブロックを集積していたが、新製品のi.MX 95はさらに増強された。例えば、アプリケーション処理に使うメインのCPUコアは英Arm(アーム)の「Cortex-A55」で同じだが、i.MX 93の集積個数が2つだったのに対してi.MX 95では最大6つになった(図2)。6つのCortex-A55で共有するL3キャッシュ容量は512Kバイトと倍増した。外付けDRAMはLPDDR5型とLPDDR4X型が使える。i.MX 93ではLPDDR4X型だけだった。
AI/機械学習処理アクセラレーターとしてi.MX 93はArmのNPU(Neural Processing Unit)コアの「Ethos-U65」を集積していたが、今回のi.MX 95ではNXP独自開発のNPUコア「eIQ Neutron」を集積するようになった。eIQ Neutronは、2022年6月に発表した同社の新Armコアマイコン「MCX」のハイエンド製品「Nシリーズ」に集積されている*2。このNPUを集積すると発表した製品は、今回のi.MX 95が2番目に当たる。eIQ Neutronには様々な構成があるようで、MCX向けに比べてi.MX 95は処理能力が高い構成を採るとみられる。なお、MCXはNXPのArmコアマイコン「LPC」と、NXPが買収した米Freescale Semiconductor(フリースケール セミコンダクター)の同マイコン「Kinetis」の両方の後継製品である。