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 AGCは2023年1月22日、板ガラスの原料を溶融する「ガラス溶解プロセス」において、フロート窯内部の複雑な現象をリアルタイムにコンピューター上で再現・予測できる生産支援ツール「CADTANK Online Computation and Optimization Assistant(COCOA)」を開発したと発表した(図1)。プロセス最適化によるガラスの品質向上や製造コストの削減、環境負荷低減に役立てる。同年2月から同社のフロート窯にて運用検証を開始する。

図1 COCOAで再現したフロート窯内部
図1 COCOAで再現したフロート窯内部
フロート窯の実機内部(左)と再現モデル(右)。原料のシリカなどを約1600℃の高温で溶かす「ガラス溶解工程」部分。(出所:AGC)
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* フロート窯 高温で溶けた液体スズの上に、同じく液状化したガラス原料を流して板状に成形する設備。ガラス溶解プロセスは製品の品質に密接に関係し、製造コストや環境負荷の低減を図る上でもフロート窯内部の詳細な状況の把握が必要になってきた。窯内は高いところで1600℃ほどの高温に保たれており、詳細な情報の取得は容易ではない。

 新たな生産支援ツールは、次の2つの機能から成る。

 1つは、フロート窯内の様子をリアルタイムにコンピューター上に再現する「オンラインシミュレーション」機能(図2)。ツールを実行すると、フロート窯内で観測可能な温度や生産状況などの実機データを自動で取得し、シミュレーションによってフロート窯内部の詳細な温度や溶融ガラスの対流を計算する。

 実機データは一定の頻度で更新され、まるで実機の状態とデジタル空間が同期しているかのようにシミュレーション結果を表示できる。このため、本機能を「デジタルツイン技術」(同社)としている。実機の詳細な状態を把握して、最適な生産条件の検討につなげる狙いだ。

図2 オンラインシミュレーション機能の概要
図2 オンラインシミュレーション機能の概要
統合データ基盤を構築し、実機の状態をリアルタイムに再現する仕組みを実現した。(出所:AGC)
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