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 「ゼロエミッション化しないと今日の自動車業界では生き残れない」。欧州Stellantis(ステランティス)の高級車ブランド「Alfa Romeo(アルファロメオ)」の最高経営責任者(CEO)、Jean Philippe Imparato(ジャン・フィリップ・アンパラト)氏は、新型車「トナーレ」の日本発表会でこう語った。発表会直後、その真意について同氏に直接話を聞いた。

Jean Philippe Imparato(ジャン・フィリップ・アンパラト)氏
Jean Philippe Imparato(ジャン・フィリップ・アンパラト)氏
アルファロメオ初の電動車「トナーレ」の日本発表会でゼロエミッション化の意義について語った。(写真:日経Automotive)
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24年にアルファロメオ初のEV

 自動車業界ではパワートレーンの電動化が急速に進んでいる。同ブランドも例外ではない。「2024年にアルファロメオ初の電気自動車(EV)を市場に投入する」と同氏は話す。その後、2025年以降に発表する新型車をEVのみとし、2027年には新車販売ラインアップの全てをEVに切り替える計画だ。

 同社が大胆に電動化へ舵(かじ)を切るのは、各国の燃費規制が関連している。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は、2030年に新車からの二酸化炭素(CO2)排出量を、2021年比で55%削減する規制を発表している。2035年には100%の削減を目指しており、実質的に内燃機関車やハイブリッド車(HEV)は販売できなくなる。米国も同様だ。2021年にバイデン大統領は、2030年までに新車販売の50%をEVにする目標を掲げた。

アルファロメオの電動化計画
アルファロメオの電動化計画
2027年には新車販売ラインアップの全てをEVとする目標だ。(写真:日経Automotive)
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 このような規制の中で各自動車メーカーは、これまでと同様に内燃機関車を販売するのが難しくなっている。そんな中、飛び出したのが冒頭の発言だ。「急速に進むゼロエミッション化の流れの中で、アルファロメオを将来に向けて守っていかなければならない」とアンパラト氏は危機感を示した。

 ただ、同ブランドは、2022年に欧州で発表したトナーレまで電動車がなかった。現在トナーレには、簡易ハイブリッド車(MHEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)を設定している。同氏は「電動化への参入は遅かった」と認める。その上で、電動化への切り替えのスピードは「世界一を目指す」(同氏)とした。