TDKは、厚さ約100μmの「マイクロ磁石」を開発した。サマリウムコバルト(SmCo5)磁石の薄膜を、コバルト(Co)基材の表面に形成したという。同社は、このマイクロ磁石を用いたブラシレスモーターの試作品を、工場設備の展示会「FACTORY INNOVATION Week 2023」(2023年1月25~27日、東京ビッグサイト)に出展した。製品化の時期は未定。
開発したマイクロ磁石の薄膜は溶融塩を用いて製作した。まず、500~700℃に加熱した溶融塩にサマリウム(Sm)の粉を入れて溶かし、その中に棒状のCo基材を投入した。すると、Co基材の表面から内側に向かってSmが拡散し、SmCo2の膜が形成されるという。その後、Co基材に約1000℃の熱処理を加えることで、最終的にSmCo5の磁石膜を得た。
こうして試作したのが、厚さ約100μmの磁石膜を持つ、直径約1mmの棒状磁石である。その断面をみると、中心のCo基材を取り囲むように、磁石膜が存在する。なお、同磁石の磁極については、断面の半径方向のうち、ある一方向に正極(N極)が、その反対方向に負極(S極)がある。
同社はこのマイクロ磁石をローター(回転子)に用いて、2相及び3相のブラシレスモーターを試作した。両方とも約1000rpmの回転に成功している。