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 アマダは2023年2月3日、新型電動ベンディングマシン「EGB」シリーズを発表するとともに、作業者支援の新機能などの詳細を明らかにした(図 1)。同日開所した「Amada Global Innovation Center」(神奈川県伊勢原市)で実機を公開。作業者から見えにくいワークと治具の位置関係を加工機内のカメラでモニターする機能、音声で装置を操作する機能などを設けた。

図1 「EGB」シリーズの1モデル「EGB-6020ATCe」
図1 「EGB」シリーズの1モデル「EGB-6020ATCe」
EGBシリーズには作業者の正面で情報を伝えるタブレットが装着される。(写真:日経クロステック)
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 EGBシリーズには、機械前面にタブレットが付いていて、作業者に追従して左右に動く。作業者は正面を向いた状態で、画面から情報を得られる。機械左端についているNC装置のところに戻ったり、作業中にタブレットを手に持ったりする必要がなく、両手をワークの保持や機械の操作に使える。

 加工開始時には、作業者は音声で機械に指示できる。機械は作業者のイヤホンなどに承知した旨などの音声を返す。従来のように、作業者がNC装置のボタンを押すために、ワークをいったん上げ下げして機械左端まで歩くなどの必要がなくなる。

 タブレットにはさまざまな加工上のアドバイスなどを表示する。その1つである「突き当てモニター」機能では、ベンディングマシンの奥のほうに固定してある位置決め用の治具に対して、ワークがどのように突き当たっているかをカメラで撮影し、正しい突き当て方を示す半透明図形と重ね合わせてタブレットに表示する。

 ベンディングマシンでは、板金のワークを作業者が手で保持し、折り曲げ線に金型(パンチ)が下りてくるようにワークの位置を合わせる。このとき、ワークの突き当てが不十分だったり、ワークの向きがずれていたりすると、ワークの折り曲げ線とずれたところにパンチが当たるため、精度の高い曲げ加工ができない。ところが治具にワークが突き当たる場所は作業者からは見にくく、正確に突き当てられたかを作業者は手ごたえなどで判断しなくてはならないため、熟練者でないと難しいという課題があった(図2)。

図2 治具へワークを突き当てて位置決め
図2 治具へワークを突き当てて位置決め
治具は作業者から見て機械の奥の方に位置する。(写真:アマダによる説明用画面表示を日経クロステックが撮影)
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 EGBシリーズでは経験の少ない作業者でも勘や感覚に頼らずに作業できるよう、加工機内の治具の近くにカメラを設けた。さらに加工結果をリアルタイムで測定してタブレットに表示し、十分な角度が得られているかどうか作業者がその場で分かるようにした(図3、4)。

図3 タブレットに表示された「突き当てモニター」
図3 タブレットに表示された「突き当てモニター」
赤色の半透明図形が正しいワーク位置を示す。(写真:日経クロステック)
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図4 曲げ結果の表示
図4 曲げ結果の表示
所定の曲げ角度にできたかなどを作業者は都度確認できる。(写真:日経クロステック)
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