売上高は過去最高だが、ディスプレー向け製品の大幅な需要減少などの影響で営業利益は前期比減、最終損益は赤字に――。AGCが2023年2月8日に発表した2022年12月期の連結決算(国際会計基準)の結果だ。
2022年12月期通期の売上高は、半導体関連部材など戦略事業の伸びもあって2兆359億円(前期比3385億円増)を記録したものの、同営業利益は1839億円(前期比222億円減)、最終損益はロシアからの製造拠点撤退を含む大幅な減損損失の痛手で32億円の赤字(前期比1270億円減)だった*。
営業利益が落ち込んだ要因は、テレビやパソコンの販売の伸び悩みに伴う液晶用ガラス基板の大幅な需要減と、欧州を中心とする原材料や燃料、電力の価格高騰だ。
最終赤字については、ディスプレー事業とプリント基板材料の需要減などを受けた1284億円の減損損失などが主要因となった。ディスプレー事業で737億円、プリント基板材料で322億円の減損損失を計上。この他、ロシアにおける建築用・自動車用ガラス事業で136億円の減損損失を計上した。
ロシアからは事業撤退も
ロシアでの事業については、建築用・自動車用ガラス事業の譲渡の検討を開始したと明らかにした。代表取締役社長執行役員CEO(最高経営責任者)の平井良典氏は、「譲渡したあかつきには、ロシアでの事業は基本的になくなる」と撤退の意思を表明した。
一方でカセイソーダの市況が堅調に推移し、半導体関連製品向けを中心とするフッ素関連製品の出荷が伸びたことなどから、売上高は過去最高の2兆359億円(前期比3385億円増)となった。