ホンダが燃料電池(FC)システムの外販を決めた。外販の開始時期は2020年代半ばで、規模は年間2000基ほどを想定する。2030年には同6万基、2030年代後半には同数十万基規模の販売を目指す。
2020年代半ばに外販を始めるFCシステムは、ホンダが米GMと共同開発したもの。ホンダは2023年2月2日に開いた説明会で同システムを披露したが、部品配置や従来システムからの改良点など踏み込んだ説明を避けた。それでも、化粧カバーで覆われた展示品をのぞき込み、発表会場にいた開発担当者に話を聞くと、開発品の特徴が見えてきた。
大判のFCセルを採用
ホンダは今回の開発品を第2世代品と位置付ける。第1世代は同社の燃料電池車(FCV)「クラリティフューエルセル」の2019年モデルに搭載したシステムで、そこからコストを1/3に、耐久性を2倍にした。
出力は80kWほどで、乗用車のフロントフード下に搭載できる寸法に収めた。発電部であるFCスタックに内蔵するFCセルの枚数は明らかにしていないが、1枚あたりの面積は「(クラリティフューエルセルに搭載した)従来品よりも一回り大きくした」(ホンダの開発担当者)。トヨタ自動車のFCV「MIRAI(ミライ)」と比較しても、大判のFCセルを採用したとみられる。
FCスタックの上部には、発電した電力の変動を平準化するDC-DCコンバーターを搭載した。FCスタックの横には、空気(酸素)や水素を供給する補器類を配置した。FCスタック下部のエアコンプレッサーから空気を送り、インタークーラーで冷却してFCスタックに送り込む。
冷却液(クーラント)は用途に合わせて2種類を使い分ける。1つがFCスタックの冷却用で、絶縁性の高い専用品を使う。この冷却経路でクーラントに溶け込んだ不純物を除去するため、FCスタックの近くにイオン交換器を備える。もう1つのクーラントは補器類の冷却用で、2系統の流路を用意していた。