ヤマハ発動機代表取締役社長の日髙祥博氏は2023年2月13日、2022年12月期の本決算の発表に際して、資材や部品の価格高騰に関して「どの取引先企業(サプライヤー)に対しても原材料のコストアップ分は100%当社が引き受けるスタンス」(同氏)などと説明した。原材料などの価格について2023年は、「2022年の上がり方に対して、さらに7割くらいは上がると見て計画に織り込んでいる」(同氏)と見通しを語った。
2023年は特に鉄鋼の値上がりが続き、アルミニウム合金やプラスチック、貴金属なども価格が上昇するが、鉄鋼ほどではないと見ている。「取引先も同じように原材料の高騰に苦しんでいると思う。どの原材料が何%くらい上がっているかは当社も市況から分かっているので、取引先での仕込み重量、キロ当たりの価格上昇などの数字を合理的に判定して、コストアップは100%引き受ける考えでいる」(同氏)。
中小企業庁が2022年12月23日に公表した「価格交渉促進月間(2022年9月)のフォローアップ調査」の結果では、ヤマハ発動機はサプライヤーからの「価格交渉の回答状況」(コストアップ要請に対するスタンス)と、「価格転嫁の回答状況」(コストアップをどの程度受け入れたか)の両方について、上から2番目に当たる「イ」だった。同氏は「当社としては若干不本意。少なくとも取引先からコストアップ要請があったら、必ずテーブルにつくと約束させてもらっている」と述べた。
中小企業庁「価格交渉促進月間(2022年9月)フォローアップ調査の結果について」原材料の価格高騰以外にも「インフレ、エネルギーコスト、人件費などさまざまなコスト上昇要因があると思うので、まずはお話を100%お聞きする。その上で、人件費上昇であれば該当地域の人件費上昇率などさまざまな指標を参照しつつ、それぞれの取引先の事情を受け止めて、合理的な判断に基づいて妥結できるように交渉する」(同氏)。
「そういったコストアップをすべてヤマハ発動機で吸収するのも難しいので、製品への価格転嫁になる。ただし、製品の値上げに関して2023年にはそれほど大きくは計画に入れていない。製品値上げの余地があれば今後もチャンスは見ていくが、現時点の計画の中には織り込んでいない」(同氏)と説明した。