米GlobalFoundries(グローバルファウンドリーズ)は、ルネサス エレクトロニクスから抵抗変化型メモリー(ReRAM)である「Conductive Bridging Random Access Memory:CBRAM」の技術を取得したと2023年2月9日(現地時間)に発表した ニュースリリース 。ReRAMは不揮発性メモリーの一種である。現在マイコンなどに集積される不揮発性メモリーとしてはフラッシュメモリーが一般的だが、28nm世代以降のプロセスではフラッシュメモリーの微細化が難しく、それに代わる候補として複数種類の不揮発性メモリーが名乗りを上げている。
マイコン事業でルネサスと競合するドイツInfineon Technologies(インフィニオン テクノロジーズ)は、車載マイコン「AURIX」に台湾TSMC(台湾積体電路製造)の抵抗変化型メモリー(ReRAM)を集積すると2022年11月25日(現地時間)に発表した*1。また、同じくルネサスと競合するスイスSTMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、車載マイコンの不揮発性メモリーとして、相変化メモリー(PCM:Phase Change Memory)を採用することを数年前から明言している*2。同社は、PCMを集積する車載マイコン「Stellar P6シリーズ(Stellar SR6)」を2022年9月1日(現地時間)に発表した*3。このマイコンは、EV(電気自動車)の電動パワートレーンに向けた製品である。
一方、ルネサス エレクトロニクスは、フラッシュメモリーに代わってマイコンに集積する不揮発性メモリーを正式発表しておらず、「様々な候補を検討している」という状況である。とはいえ、机上の検討ではなく、関連技術を開発し、学会で発表している。例えば2022年6月に、マイコン混載不揮発性メモリーのSTT-MRAM(スピン注入磁化反転型磁気抵抗メモリー)を高速アクセスする技術を国際学会「2022 IEEE VLSI Symposium on Technology & Circuits」で発表した*4。同社は28nm世代のプロセスで製造できるフラッシュメモリー技術を持っており、それを持たないInfineonやSTMicroelectronicsに比べて時間的な余裕がある。ルネサスは、28nm世代プロセスで造るフラッシュメモリー集積の車載マイコン「RH850/U2A」を2019年に発表した*5。