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 パナソニック コネクト(東京・中央)は2023年2月16日、溶接ロボット「TAWERS」のコントローラー新機種「G4コントローラー」を発売した(図1)。制御の改善によりロボット動作を高速化させる他、スパッタ(火花)を低減し、FA(Factory Automation)機器向けのデータ交換標準規格「OPC UA」「OPC UA for Robotics」に対応した。併せて、作業時の電流電圧を10μ秒刻みで記録する機能を設けた。

図1 溶接ロボット「TAWERS」と新型の「G4コントローラー」
図1 溶接ロボット「TAWERS」と新型の「G4コントローラー」
制御の工夫により高速化とスパッタの低減などの改良を図った。(写真:パナソニック コネクト)
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 G4コントローラーは、溶接ロボット6軸それぞれの加減速制御を改善して、従来に比べて最高速度を引き上げた。特に、溶接先端位置を決める基本3軸(アーム部の3軸)を最大27%高速化(溶接ロボット「TM-1400」の場合、図2)。作業中に次の溶接点まで素早く空走させ、全体の作業時間短縮を図った。溶接トーチやワイヤの向きを決める、ハンド部の3軸も5%程度高速化した(同)。

図2 6軸の最高速度
図2 6軸の最高速度
従来機種「G3コントローラー」との比較。「RT」「UA」「FA」が基本3軸、「RW」「BW」「TW」がハンド部の3軸。(出所:パナソニック コネクト)
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 スパッタは、溶融した状態の金属が飛び散る現象。これを抑えるために電流の波形を細かく制御し、特に短絡溶接の場合にスパッタ量を最大62%低減した(溶接電流が「260A領域」のとき)。短絡溶接では被溶接物とワイヤの間でアーク放電と短絡が繰り返し生じるため、この挙動の周期を安定させる目的でパナソニック コネクトは「MTS(Metal Transfer Stabilization Control)」制御を導入していたが、これをさらに進化させたという。

図3 スパッタを低減
図3 スパッタを低減
左が新機種、右が従来機種。従来機種ではスパッタ痕(溶接部位周辺に残る金属粒)が目立っていた。(写真:日経クロステック)
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