国産のコメを混ぜたプラスチックが、レジ袋やクッション材として使われるようになってきた。使うコメは古米や精米時に出るくず米といったもので、従来は飼料として使わないものは廃棄していた。プラスチックに混ぜて有効活用することで、食品ロスを減らせる。植物由来のコメを混ぜているため、石油由来のプラスチックと比べて焼却時の二酸化炭素(CO2)削減効果もある。
環境負荷低減などに取り組む企業が相次いで採用している。吉野家ホールディングス傘下の牛丼チェーンの吉野家は2023年2月、全店で使用している持ち帰り用のレジ袋の一部を、サトウキビ由来の原料からコメを混ぜた原料に切り替えた。ホテルを運営する星野リゾート(長野県軽井沢町)は、屋外用の椅子のクッション材として採用している。この他にも、スプーンやフォーク、乳幼児向けのおもちゃなど幅広い製品に活用されている。
これらの製品に使われている「ライスレジン」を手掛けるのは、バイオマスレジンホールディングス(東京・千代田)だ。同社は農家などから買い取ったコメを、石油由来のプラスチックであるポリプロピレン・ポリエチレンに混ぜ、樹脂にして販売している。日本のコメは海外産の原料と比べ価格高騰の影響を受けにくく、国内で安定的に調達できるメリットがある。ライスレジンの製造では、大規模な設備を必要としないため、工場規模は「小学校の体育館ほど」(同社)。現在、コメの産地として知られる新潟県南魚沼市に主要工場を構え、国内では他に福島と熊本でも製造している。2023年5月には最大生産能力が年間1万トンに達する見込み。「価格は石油由来のプラスチックと同等で、サトウキビ由来のバイオポリエチレンなどより安い」(同社)