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 中国・比亜迪(BYD)の日本法人であるビーワイディージャパン(横浜市)は2023年2月23日、同社が国内で販売する電気自動車(EV)バスに六価クロムを使用していると発表した。同物質は有毒で、日本自動車工業会(JAMA)が自主規制している。バスを運用するうえでの乗員や乗客、整備担当者への害や、廃車時の環境への影響はないとしている。

 小型バス「J6」など、これまで国内で販売してきたEVバスで、ボルトやナット類の錆(さび)を防ぐ目的で六価クロムを含んだ溶剤が使われていた。2023年2月15日時点で、ビーワイディージャパンが国内で納入したEVバスは100台に達する。

BYDの小型EVバス「J6」の現行車
BYDの小型EVバス「J6」の現行車
2023年末に発売する同バスの新型車には、六価クロムを使用しないと明らかにした。(出所:ビーワイディージャパン)
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 2023年1月末に国内で発売した乗用EV「ATTO 3」については、BYD本社と連携して同物質の使用の有無を現在調査しているという。2023年末に国内で納車予定の小型EVバス「J6」と大型EVバス「K8」の新型車については、六価クロムを使用しないで製造するとしている。

 ビーワイディージャパンは「BYDのEVバスは日本で販売するにあたり必要な法規に準拠してきた」とする。国内で六価クロムの自動車への使用を制限する法規制はないものの、JAMAでは2008年から新型車への使用を禁止してきた。欧州連合(EU)では、RoHS(特定有害物質の使用制限)指令で電気・電子機器に使うことが禁じられている。こうした規制を受け、現在は無毒な三価クロムで代替していることが多い。