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 ヤマハ発動機は2023年3月2日、2輪車用アルミニウム合金製部品の材料に「グリーンアルミニウム」を採用したと発表した。グリーンアルミニウムは再生可能エネルギーによる電力で製錬したアルミ合金材。製品製造における二酸化炭素(CO2)排出量の削減を期待できる。同社は海外企業からグリーンアルミニウムの地金を調達し、2024年発売のモデルから順次、部品製造に適用する。

グリーンアルミニウムを適用する部品
グリーンアルミニウムを適用する部品
(出所:ヤマハ発動機)
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 グリーンアルミニウムを採用するのは、車体部品向けの展伸材や鋳造材だ。例えば、メインフレームやリアフレーム、ホイールといった、比較的強度を要求される部品である。製造コストは増加するが、「最終的な製品価格には転嫁しない」(同社)。なお、比較的強度を要求されないアルミダイカスト材などでは、市中から回収して再利用するリサイクル材を適用して使い分ける。

 同社の2輪車では、車両質量の約12~31%をアルミ合金製部品が占める。同社が調達するアルミ合金材のうち、リサイクル材の比率は約8割まで高まっているという。残りの約2割が「バージン材」、つまり新品のアルミ合金材だ。バージン材は高い強度が必要な部品に向くが、製錬には大量の電力が必要で、その電力は主にCO2排出量の多い火力発電によって賄われている。

 そこで、同社はバージン材をグリーンアルミニウムに切り替えることで、CO2排出量の削減を目指す。製錬時の電力源が変わるだけなので、アルミ合金材自体の品質は変わらない。