三菱重工航空エンジン(MHIAEL、愛知県小牧市)は2023年3月7日、拡張した航空機エンジンの整備工場を公開した。同工場は、三菱重工業名古屋誘導推進システム製作所の小牧北工場内にあり、現在は月産5~6台のエンジン整備を請け負う。MHIAELは今回の拡張で生産性を高め、2026年は月産10台、2030年ごろに月産15台への事業拡大を目指す。整備士の人数も、現在の120人から2026年には200人以上に増強する計画だ。
建築面積が約1万1600m2の既存工場を増築し、作業エリアを2割増やした。天井を高くした増築部分には大型設備が必要な工程を集約し、生産性の向上を図る。例えば、エンジンの回転の振れを調整するバランス作業や、部品の研削といった工程だ。既存工場のスペースには、エンジン部品の分解や組み立て、検査など、主に人手が必要な作業を集約する。
同工場には、あらかじめ航空機から降ろされたエンジンが、空路や陸路を使って運び込まれる。「整備対象はおよそ4~5年稼働したエンジン」(同社担当者)。個体差はあるが、1台当たりの整備期間はおよそ3カ月という。米Boeing(ボーイング)製や欧州Airbus(エアバス)製など、国内だけでなく海外の航空会社が保有する機体のエンジン整備も請け負う。世界のさまざまな条件下で稼働したエンジンの整備を通して、技術の向上を図っている。