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 防衛装備庁は放射能や化学物質の除染に水と気体の両方を使える新型の「除染装置I型」を、防衛関連の展示会「DSEI Japan」(2023年3月15~17日、幕張メッセ)に出展した(図1)。除染装置I型は1994年から使われている「94式除染装置」を強化したもので、DESIの防衛装備庁ブースには94式除染装置も展示。日本の除染装置は、2011年東日本大震災時の福島第1原子力発電所事故などでの実地経験を経ていることなどから、アジア圏などの国が関心を寄せているという。

図1 新型除染装置I型
図1 新型除染装置I型
3.5tトラックに必要設備を搭載する。(写真:日経クロステック)
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 除染装置I型は、温水で放射能や化学物質を洗い流す機能と、除染ガスによって化学物質の毒性を消す機能を併せ持ち、移動時は3.5tトラックに搭載する。メーカーはIHI。温水については500Lのタンクを持ち、15℃の水を30分間で35~45℃に加温し、これに除染剤などを混ぜて車両に吹き付けたり、シャワーテントで人の体を洗ったりする。基本的には94式除染装置と同じ機能を持つ。

 シャワーテントで使った後の温水はポンプで排水桶(おけ)に送る。排水桶内の汚染水はゼオライトを利用した排水処理部で除染する。

 新型へ新たに加わった除染ガスによる機能では、オゾンと過酸化水素を生成してチャンバーに送り込み、チャンバー内の人や設備に付着している化学物質を酸化させる。オゾンは空気中の酸素から、オゾン発生器によって生成。過酸化水素ガスは、タンクに格納した過酸化水素水から気化させて取り出す。使い終わったら、オゾンと過酸化水素は触媒により分解する。