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 リコーが使用済みプラスチックの素材を判別するセンサーを発売した。ハンディータイプのもので、樹脂に近赤外線を照射し、その反射波の波長を計測することで判別する。受光素子は複数個設けるのが一般的だが、1つの受光素子にすることでコストを抑えた。価格は98万7800円(税込み)。判別可能なプラスチックは、ポリプロピレンやポリエチレンなど13種類。

使用済み樹脂の判別センサー「RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150」
使用済み樹脂の判別センサー「RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150」
リコーがリサイクル関連の展示会「第1回サーキュラー・エコノミーEXPO」(2023年3月15日~17日、東京ビッグサイト)で披露した。センサー部(写真右)は複合機のMEMS技術を応用している。(写真:日経クロステック)
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 反射させた光を1つの受光素子で検出できるよう、可動式のMEMS(微小電子機械システム)ミラーを採用した。まず、測定光を凹面回折格子で反射させた後、その回折光をミラーでさらに反射させて1カ所に集める。ミラーの傾きからどの波長のスペクトルなのかを測定し、樹脂を判別する。一般的な方法では、凹面回折格子で反射させた光を検出するのに受光素子が複数個必要で、「数十万円ほどする」(同社)ため、コストを押し上げる要因となっていた。ミラーを使って途中で光を反射させることで、受光素子を複数個並べた場合と比べ、センサーの大きさを小型化できるメリットもある。

一般的な分光方法と比較したリコーの手法の仕組み
一般的な分光方法と比較したリコーの手法の仕組み
近赤外線の分光時に可動式のミラーを採用し、ミラーの傾きを調整することで、1つの受光素子だけで波長を検出できるようにした。(図:リコーの資料を基に日経クロステックが作成)
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 センサー本体とスマートフォンを連携させて素材を判別する。センサー本体では波長などの計測のみで、素材の判別処理や結果表示は、スマートフォンのアプリで実施する。登録した素材ごとの波長と比較することで判別する。13種類以外にも、ユーザーが追加登録することで、ほかの樹脂も判別が可能。複数の樹脂が混合された素材に対しても、最大3種類まで混合比率を算出できる。

樹脂の種類を2秒で判定
樹脂の種類を2秒で判定
センサー部を樹脂に直接当てて測定する。測定値はBluetooth経由でスマートフォンに転送され、アプリ上でどの種類の樹脂かを特定する。(写真:日経クロステック)
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