東レは2023年3月27日、13年ぶりとなる社長交代人事を発表した。繊維の営業畑を歩んできた副社長執行役員の大矢光雄氏が新社長に昇格する。同年6月に開催する株主総会後の取締役会での正式決定を経て就任する。2010年から社長を務めてきた日覺昭廣氏は代表権のある会長に就き、同社を引き続き経営面で支える。
同社の歴代社長は、日覺氏をはじめ技術系出身者が多く、営業部門の出身者としては歴代2人目となる。同日に開いた会見で日覺氏は、「今の東レは収益力(利益率)向上が課題。そのためには商品の価値を高めブランド力を強化していく必要があり、その実現には営業部門で実績を積んできた大矢氏の力が必要」と述べた。
大矢氏は1980年に東レに入社。自身を「根っからの営業マン」と称するように、同社の屋台骨を支える繊維事業で営業の経験を長年積んできた。社長就任後は、強みとする営業やマーケティング力を経営に生かしていく考えだ。近年、収益力が伸び悩んでいる同社だが、「事業を展開する上で、(ゼロから事業を起こす)ゼロイチは社内の至る所でやってきているが、1を10に、10を100にするという営業のビジネスモデルを経営にも適用すれば、格段に収益を拡大できるはずだ」(大矢氏)と意気込む。