宇宙航空研究開発機構(JAXA)とACSLは、ドローンの普及に向けた課題の1つとされている飛行時の「騒音」を低減するプロペラを共同開発し、その効果を確認した。従来の2枚羽のプロペラと比較して音圧エネルギー換算で41%低減となる最大2.3dBA*1の静音効果が得られたとしている。
国内では2022年12月に、ドローンの「都市部における補助者なし目視外飛行」である「レベル4」が法律上は解禁され、将来は市街地など人間の生活圏を高頻度に飛行することが予想されている。しかし、現実には安全性の確保と同時に、飛行時の騒音が社会実装への大きな課題になっている。
一般にエンジン車の走行時の騒音は60dB程度であるのに対し、マルチコプター型のドローンは1.1mと低高度の飛行時に80~100dBとかなりうるさい。
JAXAは以前から低騒音のプロペラ「Looprop(ループロップ)」を開発しており、今回それをACSLの国産ドローン「SOTEN(蒼天)」向けに最適化した「Looprop for SOTEN」を共同開発した(図1)。
Loopropは、4枚羽の翼の位置を寄せて先端のカーブ部分をつなげた8の字という独特な形状をしている(図2)。「回転の際に周囲の空気とプロペラが穏やかに接するため騒音が低くなる」(JAXA航空技術本部次世代航空イノベーションハブ特任担当役の嶋英志氏)という。