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 パナソニックホールディングス(以下、パナソニックHD)が、光源の種類に関係なく高い色再現性を実現した有機CMOSイメージセンサー技術を開発し、その詳細を2023年3月29日に報道機関に向けて説明した。今回、光電変換層の薄膜化や、電気的な画素分離技術によって、混色成分を抑え、正確な色再現が実現できたという(図1)。

図1 シリコンと有機CMOSイメージセンサーの比較
図1 シリコンと有機CMOSイメージセンサーの比較
高い色再現性を持つため、複数の単色光から成り立つ光源下でも正確に色再現ができる(出所:パナソニックホールディングス)
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 従来のシリコン(Si)のイメージセンサーでは、赤(R)、緑(G)、青(B)の色分離性能が十分ではなかったため、シアン光やマゼンタ光のような複数の単色光から成り立つ光源下では正確な色再現が難しかった(図2)。イメージセンサーのRGBは、カラーフィルターを使うことで特定波長の光を取り出しているが、その後、隣接画素からの光漏れ、遮光層での反射、配線層からの反射によって光学混色が起こり、分光特性が悪化する。

図2 分光特性の比較
図2 分光特性の比較
例えば、緑色光は赤、青の波長域では出力を持たないはずだが、光学混色の影響で出力を持つ(出所:パナソニックホールディングス)
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 光学混色の課題を解決するため、今回パナソニックHDは3つの技術について取り組みをした。(1)有機膜を用いた光電変換層の薄膜化、(2)画素境界の不要電荷を排出する電気的画素分離技術、(3)光の透過抑制構造である(図3)。

図3 混色対策の構造イメージ
図3 混色対策の構造イメージ
混色対策として、(1)有機膜を用いた光電変換層の薄膜化(2)画素境界の不要電荷を排出する電気的画素分離技術(3)光の透過抑制構造を適用した(図:パナソニックホールディングスの資料を基に、日経クロステックが加筆)
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