NTTは2023年3月29日、腸のような筋肉を持つ生体器官の動きを再現できる「光駆動型オンチップ運動素子」を開発したと発表した(図1)。
素子は、光の照射で収縮するハイドロゲルをガラス基板上に形成し、収縮をさせたい場所に光を照射することによって生体の任意の動作を実現できるというもの(図2)。光を当てたときに水を外に出して収縮、照射をやめると水を中に入れて膨らむ。ハイドロゲルがガラス表面に接着している部分と、未接着で自由に動ける部分を用意することで、ガラスとハイドロゲルの間にひだのような空間を作り内部に液体や固形物を入れることができる構造を持つ。
今回、この空間の内部に固形物を入れ、長い固形物を短くする分節運動や、管の中を移動させるぜん動運動を再現できることを確認した(図3)。開発した運動素子は、1Hzの高速応答性能、膨張時の厚さが収縮時の360%にもなる大変形性能、光を当てた部分のみの局所制御が可能で、「生体器官に匹敵する運動性能を実証できた」(NTT物性科学基礎研究所バイオメディカル情報科学研究センタの高橋陸氏)という(図4)。