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 世界初公開から約1年、トヨタ自動車の電気自動車(EV)「RZ」が2023年3月30日にようやく日本で発売となった。RZは高級ブランド「レクサス」初のEV専用モデルで、世界150カ国に投入する予定。販売目標は、世界で月間2700台である。

レクサス初のEV専用モデル「RZ」
レクサス初のEV専用モデル「RZ」
価格は880万円(消費税込み)から。車両寸法は全長4805×全幅1895×全高1635mmで、ホイールベースは2850mm。(出所:トヨタ自動車)
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 日本での価格は「RZ450e」の「Version L」グレードが880万円(消費税込み)である。発売を記念した特別仕様車「First Edition」は、500台限定で940万円(同)とした。トヨタのEV「bZ4X」は同社グループのKINTO(キント、名古屋市)が展開するサブスクリプション(定額課金)やリースのみで提供してきたが、RZは売り切りでの販売も実施する。

インバーターにSiCを採用

 RZはbZ4Xと共通のEV専用プラットフォーム「e-TNGA(Toyota New Global Architecture)」を採用する。搭載するリチウムイオン電池パックの容量は71.4kWhで、航続距離は494km(WLTCモード)である。モーターとインバーター、トランスアクスルを一体化した電動アクスルを前後輪に1個ずつ搭載する四輪駆動(4WD)車である。

 モーターの出力は前輪側が150kW、後輪側は80kW。bZ4Xの4WD車も電動アクスルを2個搭載するが、RZは前輪側の出力がbZ4X(80kW)より大きい。後輪側の出力はbZ4Xと同じだが、インバーターが違う。RZのインバーターはSiC(炭化ケイ素)パワー半導体素子を採用し、電力損失を低減して「航続距離の伸長に貢献した」(RZのアシスタントチーフエンジニアを務めた笠井陽一郎氏)。

前後輪に電動アクスルを1個ずつ搭載
前後輪に電動アクスルを1個ずつ搭載
後輪側にはSiCパワー半導体を使うインバーターを採用した。(出所:トヨタ自動車)
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 「冬場の電費改善が航続距離を確保する上で大きなファクターとなっている」。笠井氏がこう語るように、EVでは暖房を使用する冬場に航続距離が短くなる。bZ4Xでもユーザーや一部メディアなどで課題として指摘されてきた。

 対応策の1つとして、RZではフロントウインドーに湿度センサーを標準搭載した。