植物由来の素材を混ぜたプラスチックが、工業製品や食器だけでなくプラモデル製品にも進出し始めた。金型メーカーでプラモデルブランドを持つエムアイモルデ(静岡県富士市)が、木材などの細胞壁から抽出したヘミセルロースをポリスチレン(PS)に混ぜた複合材料を使ったプラモデルを、2023年7月ごろ発売する。発売に先駆け、模型・プラモデル見本市である「静岡ホビーショー」(2023年5月10日~14日、ツインメッセ静岡)で、ロボットキャラクターの商品サンプルを披露した。商品のデザインは、「機動戦士ガンダム」などのロボットデザインを手掛けるメカニックデザイナーの大河原邦男氏が担当している。
同商品は、植物由来の素材を活用して石油由来プラスチックの使用量を抑え、環境負荷を低減したものだ。同社は、バイオプラスチックの開発・製造を手掛ける事業革新パートナーズ(川崎市)から材料供給を受けて、ヘミセルロースを原料とする生分解性プラスチック「HEMIX」をPSに10質量%混ぜたものを新商品の材料として採用した。ヘミセルロースは木材などに約30質量%含まれており、通常は廃棄されることが多いが、HEMIXはこれを有効活用している。
エムアイモルデはこれまでにも、別の植物由来のプラスチックを活用した商品を手掛けてきた。具体的には、同じく木材などから抽出するセルロースをポリプロピレン(PP)と混ぜたプラスチックを使っていた。しかし、PPは塗料が樹脂にのりにくい、接着しにくいなど、プラモデルの材料としては難があった。