「全社の成長をけん引していくのは、(自動車向け製品を中心とした)高機能プラスチックス事業だ」――。積水化学工業が2023年5月23日に開いた、2026年3月期(2025年度)までの3年間の中期経営計画発表会の冒頭で、同社社長の加藤敬太氏はこう強調した。自動車や半導体向け製品の販売を拡大し、2025年度の売上高は過去最高の1兆4100億円と、2022年度比で約13%増を計画する。特にEV(電気自動車)の電池に使われる放熱材は欧米EVメーカー向けの需要が伸びるとみて、売り上げの倍増を目指す。
前回の中計では、新型コロナ禍の影響が予想より長引いたことから、収益改善のための構造改革に注力してきた同社。今後3年間は高機能プラスチックス事業などで生産設備や研究開発などへ積極的に投資していく。設備投資と研究開発費4400億円のうち7割以上を同事業およびメディカル事業、新事業に振り向ける。
同社が最重要製品と位置付けているのが、EV向けの電池に使われる放熱材だ。新中計の最終年度に当たる2025年度では、放熱材の売り上げを2022年度から100億円積み増し、196億円とする強気の計画を示した。「欧州の自動車メーカーの製品に既に採用されており、次の車種での採用に向けた検討段階に入っている」(高機能プラスチックスカンパニー プレジデントの清水郁輔氏)。米国でも放熱材の事業拡大に向けた動きが進んでおり、2023年下期には北米で新工場の稼働を予定している。